Rock&Bullet#2

結城 優希

Holy Closs ”ff”

 

 

 

アストル:それで、その獣人と機械生命体は、何と言っているんだ?

カンナ:いや、それがね、聞いたこともない土地からやってきたそうでねえ。フフ。

アストル:そうか……。何を笑っているんだ?

カンナ:そりゃ、興味があるからさ。なあ、司令?

アストル:なんだ?

カンナ:私の知らない技術が、私の知らない術式が、我々にとっていかに価値のあるものか、わかるかい?

アストル:分かってはいるつもりだ。

カンナ:いいや、解ってはいないなぁ。

アストル:……どういう意味だ。

カンナ:直に解るとも。否が応にもね。ハハハ。


 

ガルド:なあ、なんて言ってるか聞こえたかい!

ティム:シーッ!声が大きいよガルド!

ガルド:おいら達だけ、このドッグに入れられてるがぁ、嬢ちゃんや兄やんは何処に連れてかれたんだい?!

ティム:うぅ~んそんな話はしてなかったみたいだけどね。でもでも多分、キャプテンたちは無事だと思うよ?

ガルド:だから、どこにいるのかって……

ティム:シッ!誰か来たみたい!急いで戻ろう!

 

 

レオン:おうアストル、なんの呼び出しだよ、反省文なら書いたはずだろ。

 

 

 

――タイトルコール

 

 

レオン:ロックアンドバレット

カンナ:ホーリークロス・フォルティシモ

 

 

 

――司令官執務室

アストル:やっと来たか、レオン。お前をここに呼んだのは、伝えたいことが数件あったからだ。

カンナ:おやぁ、ご無沙汰だねえ、レオン隊長。シルバーホークはどうだい?君専用にリメイクしたところなんかの感想も、ぜひぜひ聞かせてほしいものなんだけど、どうだね?

レオン:……うげ……おい、アストル。なんでこいつがここにいるんだよ……

カンナ:そう嫌な顔をしないでもらえるかな?これでも美しいレディのつもりでいるんだ。多少は傷ついてしまうよ。

アストル:面白がって弄るのはその辺にしておいてくれ、カンナ。

カンナ:オーライ分かったよ。アストル司令。私は隅で待機しているとも。

アストル:それよりレオン、テトラとリュウガサキはどうした?

レオン:センタは謹慎中だ。ちっと荒れてたからテトに任せてきた。

アストル:……お前、リュウガサキと何かあったのか?

レオン:まぁ、ちっとな。……で?何の用だって?

アストル:うん。まずは、先日拿捕した機体の件についてだが。

レオン:あぁ、あれか。どうだった?

アストル:機体には特段変わったところはなく、あの状況から脱出できるような機構は、確認されなかった。カンナ、資料を。

カンナ:はいどうぞ。この私が丹精込めて調べ上げたんだ。心してみてくれ。

レオン:ヘイヘイ、そりゃどうも。あ~そうだな、別に変ったところは……あ?なんだこりゃ。

アストル:ああそれか。非常に小型だが、通常のナイトドールには搭載されていないユニットだ。詳しい解析は、現在工廠の連中が始めているはずだ。

レオン:ふーん。通常のナイトドールには積んでないってことは、……ウチのアレみたいなもんか?

カンナ:馬鹿を言っちゃあいけないよ。レオン隊長?アレは私が技術の粋を集結して作った、まさに努力の結晶だ。こんなちゃちなユニットと一緒にされては困るよ。

アストル:うん?カンナ、君にはこれがなんだかもう分かっているのかい?

カンナ:馬鹿にしているのかい?司令。私がこの手でバラしたんだよ?

アストル:ほう。では、カンナ。君はこのユニットを何と見る。

カンナ:ズバリ、こいつは記憶媒体だね。それも容量のかなり大きな。

レオン:メモリーってことか?んなもん積んで何になんだよ?

カンナ:さあて、それは私の知るところではないねえ。

レオン:まぁ、そりゃそうか。

アストル:それは、詳しく解析が進んでから考えるとしよう。

カンナ:じゃあ私は工廠に帰らせてもらうよ。何かあったら連絡をくれたまえ。ではね、司令、隊長。

アストル:あぁ、では作業に戻ってくれ。

レオン:……行ったか。どうもあいつは苦手だよ、俺ぁ。

アストル:そういうな、あんな性格だが、腕は大陸においても五指には入るほどだ。仲良くしておくことだな。

レオン:へいへい。んで?他の要件ってなんなんだ?

アストル:それなんだがな……。

 

 

 

――パンドール工廠

カンナ:さあ戻ったよ~。

ガルド:おわ?!

ティム:お、お、お、おかえりなさい!!!

カンナ:さぁ、続きといこうねえ。

ティム:ええっと。

カンナ:まず、君たちが乗って来たこの空飛ぶ船、飛空艇、といったかい?これについて教えてくれないかい?

ガルド:おう?飛空艇についてか?それなら任せろ!

ティム:あ、ちょっとガルド!

ガルド:この姉さんは大丈夫さ。

ティム:むぅ……

カンナ:それは助かる!まずはそうだな……動力はなんだい?

ガルド:ああ、そいつはなぁ、このフライトクリスタルが浮力になっててなぁ、石炭を燃やして蒸気エンジンっつーのを回して、推進力にしてるんだ。

カンナ:だがそのフライトクリスタルに消費するエーテルはどこだい?

ティム:エーテル?なんですかそれ?

カンナ:エーテルを知らない……?君たち何処から来たと言っていたかな?

ティム:えっと、それは……

ガルド:ルーン・ベルから来たぞ!

カンナ:ふぅむ。聞いたことがないなぁ。

ティム:……実際、ボクたちもこの、ランドバーグがどこにあるのかわからないんですよね。

カンナ:まぁ、分からないことを考えても仕方ない。私が聞きたいのは、そのフライトクリスタルの動力は何なのか、ということさ。

ティム:……魔力、ですね。

カンナ:魔力。それは、古代人が魔法を行使するときに使用したとされるエネルギー体の、あの?

ガルド:ああ、そうだぁ。

ティム:はい、個人差によって大小はありますが、生物は例外なく魔力を持っているそうです。

カンナ:生体から……いささか非効率的だと思うのだが?

ティム:あはは、そうですね。実際効率は良くないですよ。

ガルド:おいら達の船はちょっと特殊なのさ!

カンナ:ほう……?

ガルド:何と言ったって、アーティファクト「マギ・コンバータ」が組み込んであるからな!

ティム:かなり限定的ではありますけどね、便利ですよ。

カンナ:アーティファクト!素晴らしい!是非見せてもらえないかな?!お礼はする!

 

 

 

――司令官執務室

レオン:異国からの旅人ねえ。それも空からか。

アストル:ああ、この間任務で赴いた軍事施設の近くにある山岳地帯。その東のキリアの森に、船がいたという報告があって、特務隊が編成されて様子を見に行ったそうだ。そうすると、ちょうど船が空を飛ぶところを目撃したというわけだ。

レオン:で、どうしたんだ?ただで行かせる、なんてことはないだろうし、聞く限り敵対しているわけでもなさそうだ。

アストル:ああ、話を聞くとその船は、まあ当然ながら大型のマギテックの様だった。西から来たと言っていたからな。その情報を聞いたカンナと私は、詫びがしたいと国へ招待したんだ。

レオン:詫び?なんかあったのか?

アストル:恐らくあの船があそこにいたのは、エーテルジャマ―の影響だ。山岳地帯の上空を越えようとしたんだろう。

レオン:あ~。そういうことか。

アストル:国内の平和を守ることが、我々の大きな任務だからな。いらぬ危険にさらしたことを詫びさせてほしい、とな。

レオン:ったく、相変わらず堅物だな、お前は。

アストル:だが、こんな性格だからこそ、今もまだ、お前達と関われているんだ。

レオン:フ。そうかもな。……ああ、そうだ。エーテルジャマ―。テトが持ち帰っていたが、どうなった?

アストル:丁度そのことも話そうと思っていたところだ。

レオン:っていうと、なんかわかったんだな?

アストル:ああ、詳しい原理なんだが、液化エーテルをらせん状の管を通して回転させることで、内外のエーテル濃度に差異を発生させて、その力場をこの装置によって拡大させることで、反エーテルのフィールドを作り出すというもので(レオンの声が聞こえたら話を辞める)

レオン:(説明の最初辺りでかぶせて)あーあー!そういうのはいいんだよ。お前がそんなこと俺に話すってことは、役に立つってことだろ?そっちを聞かせろ。

アストル:フ。そうだな、端的に言うと、この技術を流用すれば、半永久的に稼働できる機体が出来上がる……かもしれない。

レオン:おいマジかよ。そいつはどうも、俺向きだな。だがよ、かもしれないっつーことは、まだなんかあんだろ?不安要素が。

アストル:あぁ。カンナがにらんだ通りの代物であれば、という条件が付く。さっき話していた空からの旅人の話なんだがな……

 

 

 

――パンドール本部工廠

カンナ:……と、いうわけさ。

ガルド:ほうほう。

ティム:なるほど、面白そうですね。

カンナ:お、君たちいける口かい?だが、自分たちの船の整備を行っていたんだろう?疲れてはいないかい?

ティム:えへへ、ボクもガルドも、ワーカーホリックだって言われることがよくあるんですよ

ガルド:ああ、不夜城のガン・ガルドとはおいらぁのことだ!

カンナ:君たちの協力を得られるのは、実際助かるんだが、いいのかい?

ティム:はい!もちろん!こんな面白そうなこと、見逃す手はありませんよ!ね、ガルド?

ガルド:おうとも!それに報酬ってーのも、いいお土産になるしな!

カンナ:はは、君たちとはいい酒が飲めそうだ!よろしく頼むよ!

ガルド:おいおい!おいらぁは酒は飲めねーよ!

カンナ:ははは、違いない!!いつかその体もじっくり見せてくれないかい?サービスしとくからさ。

ガルド:お、おい!毛むくじゃら!助けてくれ!

ティム:あっははは!じゃあ、改めて!よろしくお願いします!カンナさん!

カンナ:ああ、こちらこそよろしく。ではまず手始めに、件のアーティファクトを調べていこうじゃないか。

ガルド:おう!おいらぁ達も仕組みが気になっていたんだ!

ティム:よーし!がんばるぞー!

 

 

 

――司令執務室

アストル:……と言う訳だ。

レオン:なるほどなぁ。エーテル変換機か、確かにそいつが実現すりゃあ、とんでもねぇアドバンテージになるな。

アストル:あぁ、カンナは直に解ると言っていたからな。期待してもいいと思う。

レオン:まぁ話は分かった。んじゃ俺は帰るぜ。またなー。

アストル:おい待て!まだ話は終わっていないぞ。

レオン:あ?なんだよ。まだなんかあんのか?

アストル:もう一つだけな。レオン、お前には、今からここに向かってもらう。

レオン:ドルテスに?なんだ、出動命令か?

アストル:そんなに物々しいものではない。ドルテスの街はオラクル神聖王国との国境付近だ。それ故万が一のために、お前に警護に当たってもらいたい。

レオン:地元の衛士はどうしたんだよ?

アストル:それがな、昨日の定期連絡以降、連絡が途絶しているらしい。

レオン:は?それマズいんじゃねえのか?

アストル:しかし、あの街にはエーテル通信機が古いものしかない。故障でもしたのだろう、というのが上の見解だ。だから今になるまで私に話が回ってこなかった。それに、この首都ランドリアの警備をそんなことの為に手薄にするつもりはないとも言われた。

レオン:なんだよそりゃあ。……必要とあればセンタの謹慎はお前の方から解いてやってくれ。

アストル:無論、そのつもりだ。手続きが済み次第、あの二人はそちらに派遣する。多少の無理は通して見せる。

レオン:もし、まだ荒れてるようなら、頼んだぜ、アストル。

アストル:任せておけ。

レオン:じゃあ、行ってくる。

アストル:ああ、管制室には私から連絡しておくが、間に合わんようなら、ドッグから直接出撃することを許可する。では頼んだぞ、レオン。

レオン:了解。

 

 

 

――パンドール・カタパルトエリア

レオン:こちらシルバーホーク。カタパルトの使用許可は出ている、出撃するから開けてくれ。

カンナ:おや、急用かい?レオン隊長。

レオン:詳しいことはアストルに聞いてくれ。それで、頼めるか?

カンナ:ああ、いいとも。いいデータを頼むよ。

カンナ:ハッチ開放、カタパルトユニットにドッキング。耐衝撃体勢を取っておいてくれよ。セーフティーアーム解除、それじゃ行ってきたまえ。

レオン:助かるぜ!んじゃ、行ってくる!

――シルバーホーク射出

カンナ:ふむ、私も急いだほうが良さそうだね。

 

 

 

――司令官執務室

アストル:ふう、これは忙しくなりそうだな……。

アストル:ん……?個人端末に通信か?……ミリア?

アストル:私だ、どうした?

アストル:なに……?まだ、予感が消えない?

アストル:……レオンは今、ドルテスに……クソ……今何処に居る?

アストル:今すぐ管制室に向かえ。ああ、彼女達にも協力してもらう、声をかけておいてくれ。

アストル:……杞憂であればいいが……

 

 

 

レオン:こちらシルバーホーク、ドルテスに到着した、誰か応答できるか?

レオン:チッ……誰もいねーのか?ったく。アストルのやつ何してやがんだ。

レオン:見たところ、街に異常はなさそうだが。……あ?

レオン:なんだ……この揺れ、地震か……?

 

 

 

――別の誰かと通信中のアストル

アストル:そう言う訳だ。何事も無ければいい、しかし、念のためというやつだ。

アストル:……ああ、それだけ、ミリアの「予感」は信頼できる。

アストル:そうか!頼まれてくれるか!では、ドッグにはこちらから話を通しておく。

アストル:……うん、なるべく急いでくれ、レディ。レオンを頼む。

 

アストル:ふう、何事も無ければいい、か。全くだな……。

アストル:絶対に、お前をここで失うわけにはいかない。

 

 

 

――ドルテスの街近郊

――近付いてくる足音

 

 

――物陰に身を隠すシルバーホーク

レオン:おいおいおいおい……

レオン:微かな音をたどって来てみれば、なんだよこの状況は。

レオン:オラクルの部隊章貼り付けた機体が、二十、いや、二十五機かよ……。

――通信が入る

アストル:レオン、聞こえるか!?

レオン:あぁ!?アストルか、こっちはやべーことになってる!

アストル:どうした?何があった!?

レオン:オラクルの連中だ。ドルテスから少し北西に外れた森に二十機以上見えてる。どうする?

アストル:……先程ドルテスの衛士隊から連絡があった。一昨日から今朝まで、通信機が不調だったらしい。おまけに、レーダーやソナー、果てはマギテック式の街路灯までもが。

レオン:そりゃ、まさか……

アストル:ああ、おそらくこの数の機体をここに集めるために、隠蔽用のエーテルジャマ―を使用していた可能性が高い。

レオン:それが解除されたってことは……奴ら、仕掛けるつもりか!

アストル:だが幸いお前がそこにいることにやつらは気づいてはいないだろう。

レオン:(かぶせて)クソッ!奴ら進み始めた!

アストル:おい待て!レオン!行くな!

レオン:うるせえよ!此処で叩かねーと、ドルテス周辺の村がぺちゃんこになる!話はあとだ!

アストル:クッ!今救援を向かわせている!無茶をするな!いいか?!

アストル:……チッ。あの莫迦者、通信を切るとは……

 

 

 

――工廠内、窓の外を眺めるカンナ

カンナ:……そうか、君たちも行くのかい。

カンナ:ああ、何とか間に合ってよかったねぇ。

カンナ:いいかい、君たちは軍属ではないんだ。決して危険な真似をせずに、頼まれごとをこなしたら、速やかに帰投するように、ね。

カンナ:では、行っておいで。クイーンプラム号のクルー諸君!

 

 

 

レオン:おい!止まれお前ら!

オラクル軍A:うお?!なんだ?!

オラクル軍B:全軍止まれ!!……貴様、何者だ?

レオン:そいつは俺のセリフなんだがなあ?

オラクル軍B:答える気はなさそうだな。まあいい、機体を調べればわかることだ。

レオン:ハッ……随分とまあ、血の気が多いことで。

オラクル軍A:こいつ正気か?ハハ、レーダーにはなーんも映んねえ。野郎、一人できやがったみたいだぜ?

オラクル軍B:ならば好都合というものだろう。我らが祖国のために、(抜剣)……押し通らせてもらう!

レオン:ここから先は、通しはしねーよ。(抜剣)

オラクル軍A:ハハハ!いいねえ!!

レオン:さぁ……此処で俺と……

 

オラクル軍B:全機!戦闘開始!!

 

レオン:踊ってもらうぜ!!!

 

 

 

――剣戟の音や銃声が鳴り響く

オラクル軍A:ハッハハハ!オラオラオラオラ!なぶり殺しだァ!

オラクル軍B:右翼を展開しろ!囲め!!

レオン:させるかってんだ、よ!!

――ライトマシンガン掃射

オラクル軍A:よそ見してんじゃねーよ!おるぁぁあ!!

――振り下ろされる巨大な戦斧を飛び退って避ける

レオン:チィ!鬱陶しいんだよてめぇ!

オラクル軍B:こっちを忘れてもらっては困る!

レオン:次から次へと……!

オラクル軍B:左翼!包囲を狭めろ!

レオン:……クッソ。

――通信音

アストル:レオン!聞こえるか!?

レオン:アストルか!?いいタイミングだ!

アストル:あまりいい状況ではなさそうだな、映像をくれ!

オラクル軍A:そらよぉ!

レオン:チィ!この!もうやってるよ!

アストル:ふーー……これで全員か?

レオン:ああ、そのはずだぜ?距離的にラグは0・8秒ってところだ。行けるか?

アストル:フ。誰にモノを言っている。

オラクル軍B:しぶといな!ハァ!

レオン:よっと!ハハ、そうこねーとな!

アストル:それと、アレの使用を許可する。フェーズ3までだ。

レオン:了解!よっし……んじゃ行くか!

アストル:あぁ、反撃といこう。

 

 

 

カンナ:パンドラシステム。

カンナ:アレは私が開発した疑似アーティファクトだ。

カンナ:簡単に言えば、エーテルを圧縮し、それを高加速させてエーテリックエンジンに投入するという代物だ。

カンナ:通常では、ただ圧縮するだけでは制御が効かず、最悪自爆する。

カンナ:だが。パンドラシステムの偏芯螺旋(へんしんらせん)ストローク内にて加圧することで、安定した状態で圧縮することに成功した。

カンナ:この状態のエーテルを持ってエンジンを回すことにより、爆発的な加速をもたらした。

カンナ:ただし。操縦者はあくまで機士(ナイト)。人間だ。

カンナ:機体の急激な加速に、生身の人体が破壊されるのは自明の理だ。

カンナ:それ故、このシステムの使用には総司令の許可がいる。

カンナ:状況判断に定評のあるアストル司令にならば、この子を任せられる。

カンナ:さあ、今こそ。歌え!パンドラ!

 

 

 

レオン:パンドラシステム起動、フェーズ3にリミットを設定!いくぜ?見えてるか?

アストル:ああ、問題ない。一対二十五だが、お前こそ行けるのか?

レオン:ハッ、上等。

アストル:では、状況開始だ。

――甲高い音がシルバーホークから発せられる

オラクル軍B:何の音だ……?

オラクル軍A:構うこたぁねえ!!やっちまうぜえ!!!

アストル:右上段から戦斧。

レオン:おう。

――尋常じゃない速度の剣閃がオラクル軍Aを襲う。

オラクル軍A:んなぁ!?

――ガキンという音

オラクル軍B:速い!!

レオン:へぇ。今のを受けんのか。

アストル:左後方からランス。

レオン:シャァア!

オラクル軍B:死角からの攻撃をはじいた!?後ろに目でもついているのか!

レオン:ああ、言い得て妙だな。だがまあ、ちっと違う。

レオン:俺の相棒はな、チェスがつえーんだわ。引くくらいにな。

アストル:左下から切り上げ。右後方から戦斧の振り下ろし。

オラクル軍B:だから何だというんだ!ハァ!

レオン:シッ!

オラクル軍B:くぅ!

オラクル軍A:ドラァア!

レオン:ここ!だろ!

オラクル軍A:ぐぅうアアア!

――鈍い音

アストル:なっ!?

レオン:片腕で受けうやがった!

オラクル軍A:フゥン!

レオン:あっぶね!

アストル:おかしい。こいつら動きの速さは普通だが、反応の速度が尋常じゃない。動き出しが速すぎる。

レオン:あ?だったらどうする。そろそろ、タンクの中身も心許ねーぞ。

アストル:そろそろ救援が着く頃だ。包囲を突破して一度距離を取る。

レオン:了解。何処に向かえばいい?

アストル:ポイントは送っておく。ともかく南に突破しろ。

オラクル軍A:何ごちゃごちゃやってんだ!片腕取ったくらいで満足かよ!

レオン:うるせえな、かまってやる余裕はねーんだ、よォッ!

――敵の機体を蹴りつけて南に離脱していくシルバーホーク

オラクル軍A:うおっ!?

レオン:じゃーなぁ!また後でー!

オラクル軍B:逃がすな!止めろ!!

レオン:確かに反応はいいが……あんたらじゃあ力不足だぜ!

オラクル軍B:チィ!追え!!

オラクル軍A:止せ!あの速さじゃあ追いつけねえ、あの方が来る前に、体勢を立て直しておいた方がいい。ったく落ち着けよ。悪い癖だぞ。

オラクル軍B:ああ、わかってる!!クソッ!

 

 

 

レオン:(荒い息を整える)ふー……振り切れたか……

アストル:ああ、追手は来ていない様だ。

レオン:……パンドラシステム、シャットダウン。で?ここで合ってるのか?

アストル:大丈夫、そろそろだ。ほら、空を見てみろ。

レオン:あぁ?空ぁ?

――飛空艇が到着する

チェリー:あ、銀ピカの機体だわ!きっとあれがそうよ!

 

チェリー:あなたがアストルの友達のレオンね?!助けに来たわよ!


チェリー:このワタクシの、クイーンプラム号がね!!

 

 

 

ガルド:次回予告!

ガルド:いよぉ!おいらぁ達が助けに来たぞ~!

ティム:ちょっとガルド!やめてよ恥ずかしいから!!

レオン:んで?こいつらいったい何者なんだよ?アストル。

アストル:私も詳しいことはわからないが、気のいい奴らだぞ。

カンナ:次回、ガンパレード・クレッシェンド。

カンナ:お楽しみにね?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Rock&Bullet#2 結城 優希 @yuukiyuuki_vc

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ