ママ活アプリにノリで登録したところ同級生のママが釣れました……(休載します。八月から再開)

加糖のぶ

一章 初めてのママ

大宮家

第1話 違えた道は茨の道



 「人は道を踏み外す」


 それは僕、小宮慎也こみやしんやにも言えることだ。


 公立青南高校というごくごく普通の高校に通い無遅刻、無欠席。騒動になることも迷惑になることもしてこなかった人生。日本人特有の黒髪、苗字に似た小柄な体型。


 顔は童顔とよく馬鹿にされるが自分としては普通だと思う……そんな僕は自分で言うのもアレだけど「真人間」だと認識している。


 まぁ、を思っていたのもつい数分前までの話しだけども……僕は自ら道を違え「悪」に成り下がった。

 道を外してしまった人を「悪人」だと思っている。だから僕もそんな「悪人」と肩を並べる同等の存在なのだ――とか、色々と御託を並べてみたけど現実逃避はやめよう。


 現在の自分の置かれた状況を確認しよう。



「――ちょっと小宮君聞いてるの?! こっちは真剣に話してるんだけど!!」

「いや、あの」


 こちらの名を叫び制服首元の襟を掴み僕の体を大きく揺さぶってくる女生徒の名前は大宮美咲おおみやみさき


 肩口まで伸ばした綺麗なブラウン色の髪にパッチリとした目鼻立ちの整ったルックスを持つ可愛い系女子。

 スタイルも抜群でグラビアアイドルと見間違うほどらしい……僕はそうは思わないけど。同じ青南高校の制服姿なのに異性も同性も引き寄せるそのカリスマ性。

 加えて頭脳明晰、運動神経抜群……という天ににもつもさんもつも貰ったであろう天上人。

 同じ青南高校の同級生であり同じクラスに隣同士。それも二年連続同クラスで同じく隣同士の腐れ縁――あ、ちなみに僕と大宮の学年は二年だ。


 彼女は僕などと比べてはいけない人物。彼女が本物の人間様なら僕はミジンコ……に悪いので燃えたら消える可燃ゴミ。


「まぁ。美咲ったらそんなに怒ってどうしたの?……美咲のことは置いて慎也君は私と一緒にケーキでも食べましょうね」

「あ、えっと」


 そしてこのおっとりとした性格でいて僕を名前で呼ぶ母性溢れる女性――大宮美春おおみやみはるさん。


 名前からお察しの通り大宮のお姉さん……ではなくて……。 

 ま、まぁ、一旦そこは置いてこの大宮……と呼ぶと名前が同じになるので美春さんと。美春さんは大宮の母親だけはあり腰まで伸ばしたブラウンの髪をセミロングにし、まだ10代と言われてもおかしくない若々しく綺麗なルックス(そのルックスで自分も始め同級生か少し年上と思った)。

 大宮よりも上をいくスタイル。その大きな胸は母性を感じる。


 日によるがまだ少し肌寒いこともありニットセーターを着た姿は艶かしく、先も話たが大宮の「母親」ということもあり僕の「母欲心」が刺激される。ちなみに美春さんは33歳というとても若い――


「小宮君!! 何人の家の母親の体をジロジロみてるのよ!……穢らわしい!!」

「ご、ごめん!!」


 その舐めつけるような眼差しと怒気を含む大宮の声と態度にいつもの通りに振る舞えず、罪悪感から吃り視線を逸らす。


 美春さんの胸を見ていたのは本当のことなのでなんとも言えない。


「美咲、慎也君をイジメないの!……それに慎也君なら見られても問題ないわ。君なら私の胸でもどこでも見て良いからね?」

「えっふ!?」


 大宮の声と迫力に怯えていると横に立っていた美春さんが安心させるように左腕に抱きついてくる……


「お母さん!!」

「やーん、美咲ちゃんが怖い〜」

「!!」


 そして大宮の怒号に美春さんは特に怖がる様子もなく楽しそうに腕、もとい胸に飛び込んできた。


 あ、甘い香りがしてなんかだか頭が、クラクラして――


「お・か・あ・さ・ん!!」

「慎也君、助けて〜」

「!?」



 僕はそんな二人の言い合いをそばで聞き美春さんが放つさっきよりも増した甘い香りに意識を朦朧とさせながら、こんな状況になった経緯を頭の片隅で思い返していた。

 

  

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