監獄の中の私

@hinoreimei

プロローグ いつもの春

私が時間を創った、もう繰り返さないように。



いつもより豪華な朝ごはん、桜、初めて行く場所、初めて会う人。

この見慣れない景色に黒乃鈴芽は既視感を覚えていた。

寝ぼけまなこをこすり、道路の向かいにいるカップルを眺めて青になるのを待っていた。

「すっずめー!!」

黒乃の霞んだ視界を晴らしてくれたのは他でもない彼女だった。

「私の事覚えてる...?」

「そんなキンキンした声他にいないよ...久しぶり、玲愛」

黒乃がそう言うと留守玲愛は満面の笑みで抱きついた。


そんな朝だった気がする。


一日目はとても楽しかった。

久しぶりに再会した親友や中学からの友達とたくさん話せたし、色んな約束もした。


皆と話したい、皆と色んな事をしたい、

そんな期待と希望で満ちた幸せな気持ちで床についていた。

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