83話・開戦

戦争に一人英雄のように強い人がいるだけで戦況がひっくり返ったりしますよね。

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 アヂーン王国への商品制限を開始して3日目には、中に紛れ込ませた密偵からは、想像より早くこの問題に対処し始めたという報告が来た、しかも、私達への経済制裁をするようだ、一国だけがしても無駄以外の何者でもないのだが。

 さらに4日後、つまり一週間目には、一切動じない私達に武力行使をする案が出始め。更に一ヶ月後には実行案が提案され、その一週間後には実行された、私は実行されるまでに3ヶ月はかかると思っていたが、密偵が誘導したとはいえ、ハイスピードで実行された。


 向こうが組んだ私達の討伐隊は向こうに残っている勇者全員、つまりは私達のクラスメート、あと何連隊かを組んできた、向かうのは私達が本社として建てて、大々的に宣伝した場所、もともとエルフが住んでいた帝国との間にある森に攻める予定、

 それに対し、私達の出す戦力は、私と唯、絵里先生と正義君、ジムラドさんとマットさんのたった6人、1万人以上をたった6人で相手をすることに、バルドルフやレイエスをはじめとして、大勢に止められたが、初手で大規模破壊魔法を打つことと引き換えに納得してもらった。

 今日はその衝突の日、私達は森の手前で相手をする、広く壁を作り、私達の周りに結界を張って、空中から大量の水を作り出し、津波のような大災害を引き起こす、

 ただこれが目的なわけではなく、上空に高温の灼熱の球を作り出し、津波のように広がる水の中に入れる、一瞬で沸騰し、蒸発、所謂水蒸気爆発が起き、辺りは水蒸気の煙で真っ白になる。

 流石に見にくいので、魔法で空気中の温度を下げ、あたり一帯の水蒸気を水滴に戻す、目の前に広がる光景は、手前には熱傷により広がる重軽症者の死屍累々の山、その奥にはいろいろな装備を来た、それなりに強い私のクラスメート達が無傷で立っていた。


「さてさて皆様、私のはいかがでしょうか」


だと、貴方達に人の心はないのですか!!」


 副委員長が叫び、後ろからも攻撃が飛んでくる。


「人の心ですか?

 ではあなた達は、一国の戦力で、一商会に攻め入って、人の心はあるんですか?」


「それは、貴方達が国全体で店という店をつぶし、国民に物を売らなかったからでしょう!!」


 一部のクラスメートは先ほどの蹂躙を見て戦意を失いかけていたが、今の発言のどこに勇気をもらったのか、正当性があるから大丈夫と思ったのか、再びこちらに武器を向ける。


「私達は普通に売っていましたよ、しかし、『貴族だから』『王族だから』と言って特定のお客様に優遇はせずに、全員に適正な品を適正な値段で売っただけです、

 先に言っておきますが、劣悪な環境で働かされていた職人を、その腕を買い取って、適正な値段で、適正な環境で雇っています、これらのどこかに私の悪い部分があるのですか?」


 その言葉の直後、何処からか私めがけて剣が飛んでくる、それを指でつまみ、クラスメートを見ると、ひとりが、投擲後の体勢を取っていた、もしかしたら和解できるかもしれないと思ったクラスメートに、『まあこんなものか』と落胆する。


「これは、まだ敵対の意志があると見ていいんですね」


 副委員長はクラスメイトに止まるよう声をかけていたが、その声も届かないようで、こちらに突っ込んでくる、その行為に、私達は応戦することになる。

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開戦だ――!!

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