55話・食欲の確認

欲って大事なんですよ

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 あの妖狐族の少女の案を、起きると頭痛は治まっており、その代わりに強い眠気と空腹感が襲ってくる、眠気は二度目だが寝たいと思ったのは初めてだし、何かを食べたいと思ったのは初めてだった、この感覚をどうやって処理しようか考えるが、やりたいと思う事をするという案しか出なかった、食事は……、まあ、シルキーに頼ったら何とかなる……と思う、眠気は、仕事の後フェニ達に相談しよう。

 シルキーを見つけて、朝食の用意をお願いすると、シルキーは「フンス」と言って張り切って食堂に向かっていった、恐らくおかしなものは食べさせられないだろう、その間に、私の仕事をする、私のしている仕事は、地球で言う所の、社長の仕事はもちろん、経理や会計、財務などの仕事をしている、何時かは金回りの仕事は、部下に任せたいが、今はまだ営業の仕事に集中してもらったほうがいいだろう。

 今日の分の3分の1が終わったところで、シルキーが朝食を持ってきてくれた、作ってくれたものは、パンのようなもので、葉物野菜と薄く切った肉を挟んだ、サンドイッチのようなもの、シルキーが持ってきた朝食を見て、『美味しそう』と思ったのはおそらく欲のせいなのだろう、今まで食べても味の情報しか認識しなかった私が、見ただけで『美味しそう』と感じたのだ、大きな進歩だと言えるだろう、一口食べてみる、やはりというべきか美味しかった、家事をする妖精であるシルキーが作った料理が不味い物であるはずはないのだが、初めての感覚のせいか、想像以上の美味しく感じる、もっとたくさん食べたいと思ったが、食べられない量を用意してもらうのはダメだし、マナーは守らないといけない、昼食からも毎食用意してほしいとシルキーに伝えると、シルキーは嬉しそうに部屋から出て行った、恐らく昼食の準備をしに行ってくれたのだろう、私はそのそのまま、仕事を続け、今まで半日かかっていた仕事が、合計で6時間ほどで終わってしまった。

 仕事が終わり暫く何をするか考えていると、昨日の夜結局本を片付けるのを忘れていたことを思い出した、再び図書室に向かう、図書室に向かうまでの間、素材収集班の人たちの何人かと会った、互いに挨拶をしたが、何か遠い距離を感じる、上と下で全く距離が無いのもダメだが、ありすぎるのもダメなのだ、その内どうにかしようと考えながら、図書室に入り、昨日購入した50冊程の本を片付ける、全て片付け終わったところで、バルドルフが報告を持ってきた、どうやら商業王国の国王から王城への案内状が届いたらしい、あのダメ王子は国王にあの時のことを伝えたのだろう、此処でどういう対応をされるかで、商業王国との付き合い方は考えなければならない、私は了承の手紙を送るようにバルドルフに伝えた。

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一度もしゃべらない階はいくつあるのだろうか

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