52話・暇つぶし-1

皆さんの暇つぶしは何ですか?

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 購入した奴隷は、精霊や、エルフなど多岐にわたっていたが、お世話や教育は職員たちに任せた、私がするよりは数倍良い結果になるだろう、バルドルフかジズに任せることも考えたが、あの二人のこれ以上のい仕事を任せては、彼らの負担が大きすぎる、その為職員の一部に教育、特に心のケアなどをお願いした。


 今、私はやることが無い、私の仕事の6割程をバルドルフとジズに持っていかれたせいで、半日かけて終わらしていた、私の仕事はほとんどなくなってしまった、まあ、慣れていた私だから半日で終わっていただけで、普通は一割でも1日かかる量で、あの二人はものすごく苦労しているが、私の興味を引くものがない状態で私の仕事を持って行った報いと思ってもらおう。


 それにしても暇だ、暇すぎる……、そう言えば最近日課の鍛錬をしていない、王国にいたころはずっと唯の指導に時間を費やしていたし、転移させられてからはずっとダンジョンの攻略をしていた、商会を立ててからはずっと仕事と冒険者の依頼だ、これまでに一度の鍛錬をする暇がなかった。


 地球での日課だった、朝と夜の鍛錬は一度のしていなかった、久しぶりに日課を始めようと思い、訓練所に行き、素振りを始める、素振りをするたびに空間が歪んでいるような気がするが、気のせいだろう、暫く振り続けて、体に少しづつ魔力を込めていく、体に込める魔力量を増やすたびに空間のゆがみが強くなっていく気がするが、気のせいだと自分に言い聞かせ素振りを続ける、そしてほぼ全ての魔力を普通の身体強化に使う、そこから少しづつ、宵闇のダンジョンの110階層と同じように細胞の一つ一つに身体強化を施していく。

 身体強化を教えてくれたジムラドさんは、身体強化を「個に倍率を掛ける魔法」と言っていた、曰く、同じ魔力量を使用するなら、大きな個を強化するよりも、小さな個の積み重ねの方が強いらしい……、しかし此処で少し問題が出てくる、あまりにも個を小さくしすぎると、一部でも強化の倍率を間違えたとき、動きの差異で体が壊れてしまう、それがあの時の私を襲った痛みの正体だ、私は思い付きの突貫の全力倍率でやったため、細胞一つ一つの倍率が大きくぶれていたのだろう、その結果があの痛みだ。


 初めは1,01倍から少しずつ倍率を上げていく、一度成功すればあとは感覚と記憶で何とかなるので、そのまま一振りごとに0,01倍ずつ倍率を上げていく、1秒に一振り、1時間で三千六百振り、3時間で一万八百振り、今、全ての細胞に108倍の倍率を掛けたところで、これ以上は体が限界だったようだ、その次を振ると体から煙が出た、鳳凰の体が回復するときに出る煙だ、この煙が出たことで身体強化を止めた、身体強化は魔力を循環させる魔法なので魔力の減りはそれほどでもないが、精神的な減りはやい、少し休憩しようとすると、バルドルフが鍛錬上にいた。


「ヤミリシア様、鍛錬お疲れさまでした」


「見ていたんですか?」


「……、ヤミリシア様、私と戦っとことはありませんでしたね」


「そうですね、そう言えば一度もなかった気がしますね」


「私と一度戦っていただいてもよろしいですか?」


「少し回復しましたし、いいですよ」


「それでは今からお願いします」


 何故バルドルフが私と戦いたがっているのかは分からないが、私とバルドルフの模擬戦が始まった。

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最強と最強の配下の模擬戦、何も起きないといいのだが…

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