あなた達は将来ゴキブリになるのよと言われ育つこと十七年、弟と異世界転生しました。

鷹司

第1話

 私の名前は三ヶ日静香、十七歳。高校生をやっている。まず紹介すべきは、家族構成だろう。

 父と母と弟の四人家族。弟の日向は十六歳、同じ高校に通っていて、結構優秀だったりする。


 ちなみに両親は私達が生まれる前から怪しげな宗教にハマっている。

 まあ怪しげな宗教と言っても、最近ニュースに出てくるような献金やらなんやらはない。ただ髪型が変なだけだ。そう、教科書に乗ってるフランシスコ・ザビエルのハゲと髪を逆にした髪型をしているだけだ。

 

 両親も優秀らしい。(髪型は変だけど)優秀な弁護士夫婦としてガッポガッポと稼いでいる。


 さて、私はその日、そんな自宅兼事務所に帰ってきた。


「おかえり静香。日向もう帰ってるわよ」

「ただいまお母さん。遅くなってごめんね。ちょっと友達に勉強教えてって頼まれちゃって」

「そうなの。いいことよ」


 遅いだ何だ言っているが、まだ四時だ。リビングに向かうと、弟の日向がゲームをしていた。


「ただいま」

「あ、姉ちゃんおかえり。どう、一緒にやらない?」

「日向、あなた運動神経いいんだから、なにか部活やりなさいよ」

「その言葉、そっくりそのまま返すよ。姉ちゃんこそ、引く手あまたじゃないか」

「私は家でのんびりする主義なの」

「僕だってそうだよ」


 全く、似ているのか似ていないのか、よくわからない弟だ。日向はゲーム、私はYou Tubeで日々の暇を潰している。

 私のチャンネル登録者数は百万人を超えているし、弟も色々なゲームで世界ランキング一位を保っている。日向も大会に出れば小遣い稼ぎができるのに。


「あなた達、喧嘩しないで。もう少しで、ゴキブリになってしまうんだから、仲良くするのよ」


 そう、私達は生まれた日から、ゴキブリになることを運命づけられているらしい。

 なんでも私達が生まれた日に、両親の信じる神がそんな託宣をくだしたそうだ。

 そのせいで私達は小さい頃からゴキブリになると言われて育ってきたのだが…。もちろん信じてなどいない。


「それより、誕生日プレゼントを買いがてらピザ用チーズとマカロニを買ってきてくれるかしら」


 そういえば、今日は私と日向の誕生日だった。日向ももう十六か。早いわね。


「姉ちゃんもう十七か。早いな。っていうか、母さん今日はグラタン?」

「そうよ」

「やった!姉ちゃん、行こう!」


 全く、顔はいいのにモテないのはそういう子供かお年寄りかわからない性格のせいよ。少し頑張ればイケメンなのに。

 まあ、お母さんの食事は美味しいからいいんだけどね!


「「いってきまーす」」

「いってらっしゃい」


 そういえば、日向の誕生日プレゼントはどうしよう。何がいいかしら?


「あっ、日向くんだ。静香先輩もいるよ。二人で買い物かな」

「ホントだ。並べてみるとほんとすごい。高嶺の花って感じだね」


 同じ学校の子かな?って、高嶺の花?何だ、同じ名前か。生まれてこの方女の子から告白されたことのない日向に限って、それはないもの。

 え?私?ありますけど?一回だけナンパされましたけど?


「姉ちゃん、あれ何?」

「ん?あれって?…何かしら、あれ」


 何やら光の玉が、高速でこちらに向かってきた。まさか。


「「ゴキブリ!?」」


 私達姉弟の耳にタコを作ったあれか?そう思い、私達は顔を見合わせた。

 そしてその瞬間、私達は光に包まれた----。

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