気象観測員のメグミさん、地表の9割が海に沈んだ地球で、日々頑張っています。
touhu・kinugosi
第1話、スーパーハリケーン
「”スーパーハリケーン”が来るな~」
メグミは、海面に浮かんだ”飛行艇、
ウェットスーツと飛行服の両方の機能を備えた、体にピッタリとしたフライトスーツ。
約170センチの身長に、スタイルのいいしなやかな体が浮き出ていた。
◆
日本海軍、気象部所属、
”
飛行艇のフロート部と本体は、流線型でなだらかに繋がる。
翼は、機体上部から海面に斜めに降りていた。
垂直尾翼が左右の翼に2枚。
機首の左右にカナード翼がついている。
(震電に、フロートを着けて、ジェットにした感じ)
翼には、野営用のテントや移動用のマストを内蔵。
整備士からは、”十徳ナイフ”のようと評される多目的飛行艇である。
◆
視線の先には、視界の半分以上を占める黒い雲の柱がある。
所々で雷も光っていた。
「ここまで来るのに、あと一時間くらいか。 仕方ないな」
操縦席に戻り、気象観測基地に連絡を取る。
「こちら、ウオッチャーワン。スーパーハリケーンを発見。位置情報を送る」
「避難は難しいので水中でやり過ごす。 以上」
「こちらベース、了解した。幸運を祈る」
コックピットに戻り、空気取り込み
シートを後ろに倒し、フロート部に海水を注入。
静かに”
「無事乗り切れますように」
狭いコックピットに横になりながら、胸元から出した航海安全のお守りに願いを込めた。
”大異変”
北極と南極の氷が溶け、地表のほとんどが海になった近未来。
◆
メグミは空を見上げた。
白い雲が、空に見える。
”
「電子機器が使えないな」
「しばらく様子を見るか」
飛行艇の翼のハッチの一部を開いて、テントにした。
竿を出してルアー釣りを始める。
30センチ大のイワシが釣れた。
イワシのワタを抜いて串刺しにして、簡易コンロで焼く。
「レーションばっかじゃ嫌になるからな」
突然、スコールが降り始める。
慌ててテントに入った。
しばらくすると雨は止んだ。
一日待っても空の状態は良くならなかった。
「仕方ないな」
飛行艇の真ん中に、ハンドルを回してエル字型のマストを出し、帆を張った。
”水無月”をヨット状態にして、基地の方向に進みだした。
「早く空に上がりたいなあ」
メグミは一人ぼやいた。
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