雲の歌碑を探して

かおりさん

第1話雲の歌碑を探して

夢に見た一冊の分厚い本

あの本には何が書かれていたのだろう

どれだけ沢山の本を読んでも分からない

あの本に辿り着けない


私は雲の上にいた

寝ていたのだろうか

起き上がると青い空が視界の限り広がっていた


雲の上を歩いていくと

雲の歌碑が建っていた

手で触り読もうとしたけれど

その文字は見たこともない

くるくると丸い不思議な形をしていた


周りを見渡すとテーブルがあり

近づいていくと

2人の存在を感じた

はっきりとは見えない

その存在の足元のあたり

白い厚手の木綿のような衣服を着ていた


椅子に座りその存在が

テーブルの上に本を置いた

茶色い背表紙の一冊の分厚い本

タイトルは書かれていない


読むように勧められたが

私は固辞してしまった

かたくなに断りテーブルを離れた


あの本には何が書かれていたのだろう

読めば雲の歌碑のメッセージが

分かったかもしれないのに


あの空のどこかに今も流れている雲を探しに

もう一度どこまでも青い空を飛んでいこう


雲の上から見た

あの異国の街の風景は

もう何年も前に私は夢に見ていた


夢の中の雲の歌碑を探しに

今日も眠る

私はきっとその意味を知る














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雲の歌碑を探して かおりさん @kaorisan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る