第4話 魔法の種明かし

「先生、毎回毎回、どうやったら

そんなに奇跡を起こせるんですか?」


パソコンの画面を見ながら

助手の明子は、Dr.Zに話しかけた。


「ん?何の話?」


「藤村咲さんからメール届いてますよ。

一体、私に何をしたのか?って(笑)」


「藤村さん?誰だっけ?

明子さん、メール読んだの?」


「はい。読みました。

勉強になるので。藤村さんって

ほら、桜あんぱんの…。」


「あー、彼女ね。

なんて?」


「旦那さんが桜あんぱん、持って帰ってきたそうです(笑)

なんで、こう、ピンポイントで引き寄せできるのか…。

先生、何をしたんですか?」


「彼女はね、もともと引き寄せが

うまいんですよ。

幸せだし、小さい頃からご両親にも

可愛がられて育って、今も理想の生活を送っている」


「なのに、なぜ、先生のセッションを?高額なのに?」


「そう、そこなんですよ。

彼女は、幸せです。

でも、何かもやもやしてた。

彼女はね、周りの人を信用している。

愛情を持って人に接している。

そして、彼女は欲しい物は全部手に入れている。」


「申し分ないじゃないですか?」


「そう。じゃあ、なんでもやもやしたと思う?」


「…?」


「彼女が欲しがったものは

そして、手に入れてきたものは

彼女の欲しいものではなかったんですよ。」


「え?じゃあ、誰が欲しかったものなんですか?」


「おそらく、彼女にとって

大切な人たち が彼女に持たせたかったもの でしょう。」


「あー。なるほど。

親の期待とかってやつですかね?

それで先生、どうされたんですか?」


「彼女自身の…彼女独自の

好き を表に出して見せてあげた。」


「それが、桜あんぱん…。」


「ええ。彼女はもともと

引き寄せ能力が高いですからね。

その彼女が自分の好きに焦点を当てた。

当然、目的のものは、目の前に現れるでしょう。

ここから、彼女の人生の方向性の角度がほんの少し自分仕様に変わる。

彼女の2年後は今の本人が

想像もつかない場所に立ってるでしょうね。」


「……。

先生、私にも奇跡を起こしてください‼️」


明子が身を乗り出して言った。


「明子さんは、自分でやるの‼️」

Dr.Zは、笑った。









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る