強くなりたい

bell

第1話 反抗

「あー、だりぃ。高校なんて行く意味あんのかよ。」


「まあ行かないよりはいんじゃね?」


「俺の青春は!?高校って青春するためにあるんだぞ!」


「知らねぇよ。」


隣を歩く拓海は、せめて女子いてくれよ〜なんて嘆いている。


勉強なんてろくにしてこなかったし、素行も最悪だった俺らは、いわゆる底辺校と呼ばれる男子校にしか縁がなかった。


中学時代、大人に反抗ばかりして、人付き合いも下手だった俺は見事に孤立していた。


そんな俺に拓海は、中2で同じクラスになってからしつこく絡んでくるようになり、


気づけば一緒にいることが多くなって、喧嘩も一緒にすることが多くなった。



「高校生活はゆっくりしたいよなぁ。」


皮肉のような青空を見上げて年寄り臭いことを呟く拓海は、そのまま俺に視線を移して綺麗に笑う。



「別に喧嘩したくてしてる訳じゃねぇし。」



何となく眩しくて視線を逸らして呟けば、そうだよなぁと緩い返事が返ってくる。




まあ、どうせ変わんねぇだろ。



心の中で呟いて、校門をくぐった。




だいぶひねくれてた高1の春。

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