しまこの昔話⑪(小学校一年生)

 小学校一年生のとき、しまこの描いた絵が金賞を受賞しました。

 その絵も賞状も、もうないので記憶の中の出来事ですが、確かです。風景画でした。ペンで書いて絵具で着色したのです。ちょっと滲んだことを覚えています。

「パイナップルの絵を描いた!」

 と、当時のしまこは思っていて、いまもそう思っています(え?)。


 さて。

 体育館に集まり、賞状を校長先生から授与されることになりました。

 名前を呼ばれました。


 しまこは動きませんでした。


 再度名前を呼ばれました。


 しまこは動きませんでした。



 だって、しまこのことじゃないって思ったんだもの。

 事前に先生から何の話もなかったし。

 同姓同名の誰かのことだと思って、しまこは立っていました。


 先生が来ました。

 誘導されました。


 それでも、「え? わたし?」と思っていたのであります。



 常に空想をしている子どもでした(あ、いや、それはいまも)。

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