永遠
登魚鮭介
永遠
「あいつマジで死ねばいいのに」
SNSの友達のアカウントで見つけた投稿。
僕は震えが止まらなかった。
誰に向けて書いた言葉かも分からない。
吹奏楽で同じパートの友達。
でも、友達と思っていたのは、僕だけだったのかもしれない。
取りたかった訳じゃない。
ずっとセカンドが良かった。サードでも良かった。
なのに、そんな僕の気持ちは無視されて、先生が決める。
音域や、音質の事もあるかもしれない。
でも、あいつは、ずっとサードだった。
ずっと「セカンドやりたーい!」と言っていた。
唯の僕の被害妄想かも知れない。
でも、僕の頭は悪い展開へと、止まらなかった。
夏の公園に落とした棒アイスに群がるアリの大群のように。
僕の心は止まらなかった。
忘れられない。僕が君に言われたあの一言は。
「私、あんたの事、嫌いだから」
思っている事をそのまま言ったのだろう。
その声には、一切の笑いや虚偽が含まれていなかった。
「でも、僕、君に何かした覚えはないんだけど」
「直接じゃなくても、影響を及ぼすことはあるから」
時間までは覚えていない。
でも、あの言葉は僕の中に残り続けている。
パソコンの画面を見つめている僕は、震えと涙が止まらなかった。
自覚はある。
「被害妄想がひど過ぎる」
(これは僕のただの被害妄想だ。だから、こんなことは忘れてしまえばいい」
それでも、ずっと画面の前から僕は、動く事が出来なかった。
「死ね」と言われて、本当に死ねたら楽になれるのだろうか。
死ぬ覚悟はとうに出来ている。
地獄だろうが、天国だろうがなんでもいい。
とにかく、僕はこの状況を変えたかった。
永遠とも思える時間の中、僕は布団の中で声を殺して、お気に入りのぬいぐるみとクッションを抱きながら、泣いていた。
唯の自己満足で終わってしまってもいい。
贖罪になりもしない。
唯のしょうもない勝手な価値観で、ひたすらに泣いていた。
誰か僕に「死ね」と言ってくれ。
後悔なんていらない。
言ってくれればいいのに。
誰も言ってくれないのが、現実だ。
永遠 登魚鮭介 @doralogan
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