ご令嬢とぶつかった私、賠償金に世話役を請求される

天瀬智

第1話 人生最悪の日

「い……い……い、一億……」


 病院の待合室で、私――大石つかさは驚愕していた。

 スマホに触れていた指をぷるぷると震わせ、開いた口が塞がらない。

 私が見ていたのは、ニュースサイトの記事だった。


 『――自転車事故――相手が寝たきりに――約一億円――損害賠償――』


「ひいいいいいいっ――!」


 とてもじゃないが、最後まで読むことができず、私は思わずホーム画面に戻した。


「あ、あああ、ああああああ……」


 頭を抱え、項垂れる。


「お、終わった」


 まるでこの世の終わりのような声が、静かな病院の待合室に響く。


「私の人生……終わったぁ……」


 どうしてこうなってしまったのだろう。

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