◇ブンガクチ

 ブンガクチ、という言葉をご存じだろうか。

 あまりなじみのない言葉かもしれないが、我が杉沢村では

 わりかしまことしやかにささやかに常用される、そういう語句である。

 当村の生き字引こと杉沢村主村長曰く――



・文学地【ぶんがくち】

 カクヨムや小説家になろうなどの、文学を志す者たちが集う場所のこと。

 たまに現実世界で行われる即売会や各種交流会などの会場のことも指す。

 昔は各高校や大学にも〇〇文学研究会部室、のような文学地も見られたが、今では絶滅危惧種とされている。早稲田の二文などはその最たるものだ。



・文学値【ぶんがくち】

 これが高ければ高いほど、良質な文学を輩出できるとされている、一種のステータスのこと。ただ、高すぎると自殺に至る病にかかるおそれがあるので注意が必要である。※病名「ダザイ」



・文学治【ぶんがくち】

 ネット上などでしばしば行われる不毛な論争に対し、総括的な意見を述べて界隈を自治しようとする心の動きのこと。多くの場合、鎮火しない。



・文学痴【ぶんがくち】

 病名「ダザイ」の別称。



・文学恥【ぶんがくち】

 そもそも文学になど縁のない人々――つまり世の中における九割の人間のことを指し示す言葉。

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