四十七月都遊戯

チェシャぬこ

第1話 プロローグ

窓の外からヒラヒラと桜の花弁が舞い込んでくる。

「よく集まってくださいました。

「皆様、毎度お馴染み東京です。今回集まってもらったのは他でもない、アレの話です。」

四十数名のどよめきが和風の重厚な雰囲気の座敷に響く。

「あー…でも、本当にやるんだ?」首を傾げた彼の白銀の髪が揺れる。

「あなたの懸念はもっともです、北海道さん。

「しかしもう、限界なのです。我々は細かく分かれ過ぎた。

「本当はここにいる半分でも限界なんです。

「ですから、十何名か、それ以下になるまで削ろうと思います。

「…っ。そんないきなり…!」

「もう、待てないんです、鳥取さん」

鳥取は明るい金茶の目を伏せ、それにつられるように、誰もが黙り込んだ。

「…でも、私たちが傷つけあえば、人間たちにも影響が…」

「秋田さん、大丈夫です。…ここに47個、僕達にも耐えられるくらい強い光を放つ生まれる前の魂を用意しました。

「これを育てて、17年後、戦わせましょう

「どんな人間に育てさせるかも任せます」

東京が差し出した47個の美しく光り輝く魂が座敷を照らし出す。

一人一人のもとに光り輝く魂が行き渡り、皆黙ってそれを見つめる。座敷の窓から桜の花弁だけが音もなく舞い降りている。

「受け取っていただけましたね。

「…では17年後。月の都にて、お待ちしております…」

その場の全員が諦めたように息を吐く。

窓から桜の花弁が大量に舞い降り、室内を舞い上がる。

桜の花弁が収まり、室内が見えるようになった頃、座敷にはもう誰の影も形もなかった。

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