おほしさま
ある日、小さいねずみが棚の下でくつろいでいると
シャラ、シャララ…
ただいまー
聞きなれない音といっしょに大きいねずみが帰ってきました
おかえり、おおきいねずみさん!なんだかきいたことがないおとがしたけれど…
これだよ、ちいさいねずみさん
大きいねずみはそういうと、持っていたものを小さいねずみの目の前に出しました
わあ!
それは、青い石になん本かのほそい金色のひものようなものが下がっているものでした
どこもかしこもきらめいていて、小さいねずみは一瞬で目をうばわれてしまいます
とちゅうのみちでみつけてね、とってもきれいだったからちいさいねずみさんにもみてほしくて
ほう、と小さいねずみはため息をつきました
ほんとうに、とってもきれいだねぇ
青い石は見たことのない形をしていて、見る向きを変えると、石のおくの方がみどりだったり黄色だったり赤だったりに見えました
その下の金のひもも、きらきらと光を放つようで、ひも同士がふれるとシャラシャラと透きとおるような音を奏でました
ところで、これはなんだい?
それをひとしきりながめた小さいねずみは大きいねずみを見上げました
それが、わからないんだよ
そうかあ…なんだろうねえ…
二匹はそろって首をかしげます
いくらかうんうんうなった後、ぴん、と小さいねずみの耳としっぽが立ちました
もしかして!おほしさまかも!
おほしさま?おそらの?
そう!
小さいねずみは、ひとみを目の前の青い石のようにきらめかせながら、大きいねずみに言いました
おほしさまのなかでも、ながれぼしだよ!きっと!これも、おほしさまもきらきらしているし、このきんいろのところはつぃーってのびたところだよ!
小さいねずみは金のひもをシャラリとさわりながら言います
そうかあ…!おほしさまをこんなちかくでみたのはじめてだなあ
大きいねずみも青い石をのぞきこみながら、かんしんしたように言います
おほしさまってちかくでみても、とおくでみてもきれいなんだねえ
ほんとうだねえ
二匹がうっとりとおほしさまをながめていると、ぐぅー、と音がしました
二匹はそろって自分のお腹をおさえます
…おなかすいたね
…そうだね
ごはんたべようか
そうだね
二匹はおほしさまを持ったまま、ごはんの準備をしにいきました
おほしさまといっしょのごはんなんて、なんだかとくべつなかんじだねぇ
そうだねぇ
大きいねずみと小さいねずみ 山法師 @yama_bou_shi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます