ギャルに恋する陰キャの演劇部員
ポンタ
第1話 演劇部に入りたいと言うギャル
好きなもの。
演劇、アニメ、睡眠。
僕の人生の中で「ギャル」と呼ばれる人種と関わるとは思っていなかった。
「ねぇ、何からやれば良いの?」
ギャルの羽賀りおんは眉間にシワを寄せて聞いてくる。
「あ、ちょっと待ってて下さい。」
急いで先輩が残してくれた演劇ノートを見る。
「・・・。」
どうしてこんな事になってしまったのだろうか・・・。
名前は久原創一。
高校2年生で演劇部に所属している。性格はお世辞にも明るいとは言えなくて、どちらかと言えば目立たない存在。クラスのカースト的には最下層の人間かもしれない。
「久原、わりぃ、今日の掃除かわってくんねぇ?ちょっと用事があってさ。」
「あ、うん。別にいいけど。」
「サンキュー。わりぃな。」
陽キャの男子はそう言って、ほかの男子とわちゃわちゃしながら教室を出て行った。
急遽放課後の掃除当番の変更。
「・・・。」
別に構わない。
と自分に言い聞かせる。部活はあるけど遅れていけば特に問題はない。
「ねぇ。」
掃き掃除を始めたところで後ろから声をかけられた。振り向くとそこにはクラスで一番のギャルの羽賀りおんがいた。
「はい・・・。」
「聞きたい事があるんだけど。」
何か怒ったような顔をしながら腕組をしている。何か気に障ることでもやったのかと心臓の鼓動が早くなる。
「何でしょうか・・・。」
「・・・。」
「え?」
声が小さくてうまく聞き取れなかった。
「だから、部活についてだよ。」
「はい、すいません。」
「あんた、部活やってるじゃん。」
「はい・・・。」
「・・・だよ。」
またしても声が小さくて聞き取れない。
「・・・すいません。部活の何を言えばいいんでしょうか。」
「だからちゃんと聞けって!」
「すいません!」
「あんたの部活って演劇部だよな?」
「そう・・・です。」
「やりたいんだよ。」
「・・・誰がでしょうか?」
「私しかいないじゃん。」
「・・・羽賀さんがやりたいんですか?」
「だからそうだって!」
「すいません!!。」
「・・・悪い?」
「いや、そんな事ないです。」
どうして僕に入部希望を言ってきているのかは分からなかったが、ここでまた聞き返してしまうと怒らせてしまうので話を続ける事にした。
「誰に言えばいいのか分かんなかったからさ、とりあえずあんたが演劇部だってのは一年の時知ってたから。」
少し顔を赤くしながら羽賀さんは伝えてくる。
そしてとりあえず部室まで来てもらう事にした。
これが僕と羽賀さんが演劇部の部室にいる経緯だ。
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