【TRPGフィクション】いつかどこかのマンチ卓で……

ねくろん@カクヨム

【用語解説】マンチ=マンチキンとは?

 まずはじめに。

 このお話はとある「卓遊戯」、TRPGを題材にしています。


 知っている方は「ああ、アレね」となるでしょうが、全く知らない方のために、まず用語の解説を入れようと思います。


 卓遊戯とはなにか?

 これは電源を使わずに、紙やペン、本、駒といった原始的な道具を使って、何かしらのルールのもとで、ゲームをプレイする遊び全般を指します。

 オセロといったボードゲームもこれに含まれます。


 さて、その卓遊戯の中でさらに細かい分類のTRPGというゲームの世界が、今回のお話の舞台になっています。


 さて、TRPGとは何でしょう?

 TRPGはテーブルトークロールプレイングゲームの頭文字を取った略称です。

 プレイヤーはゲームマスター(以下GM)が用意したシナリオの「世界観に沿ったキャラクター」を作成して、ルールブックとサイコロを片手に楽しむゲームです。


 このTRPGでは、ルールによって造られた想像の世界の上を、プレイヤーが考えた探偵、戦士、魔法使いといった、自分の分身を使って冒険、推理、恋愛、いろいろなドラマをつむいで楽しんでいきます。


 そう書くと、まるで複数人が即興で小説を作るみたいじゃないか?

 そのような感想が思い浮かぶかも知れませんが、まさにそうなのです。


 GMはお題と筋書きをだし、プレイヤーはその中の登場人物として選択をし、悩み、怖れ、謎や脅威に立ち向かい、物語のラストを目指します。


 そこにはプレイヤーとそのキャラクターごとに、ラストへたどり着くまで、千差万別の「過程」があります。TRPGの面白さのが醍醐味は、まさにその部分です。


 さて、今回のお話は、そのTRPGで登場するマンチキンについてのお話です。

 「マンチキン」。聞き慣れない名前ですが、これは何でしょうか?


 マンチキン(Munchkin)とは、『オズの魔法使い』に登場する小人の種族の名前であり、造語です。その意味は作者自身も、特に明かしては居ません。


 彼ら種族は成人しても、主人公の少女のドロシーと、同程度の背丈しかありません。その精神構造は非常に自己中心的で、とても友だちになれないタイプです。

 彼らは作品中で、ワガママな子供みたいな種族として描写されています。


 ここで話はすこしかわります。


 アメリカでは1970年代からダンジョンズ・アンド・ドラゴンズなどのTRPGが遊ばれていたのですが、1983年、カルフォルニア州サン・マテオで開催されたコンベンションにて、ある説が提唱されました。


それは「TRPGプレイヤーのロールプレイ傾向は類型化できる」というものです。

それによれば、プレイヤーの傾向は次の4つに分けられるといいます。


・リアルマン(真の男)

・真のロールプレイヤー

・ルーニー

・マンチキン


 名前だけ出されても、よくわからないと思いますので、実例を出します。


★お気に入りの鎧


・リアルマンは、真の男らしく、プレートメイルを着る。

・真のロールプレイヤーは、軽くて丈夫なエルフの鎖帷子を着る。

・ルーニーは、馬が使う鎧を無理やり着る。

・マンチキンは、別のTRPGのデータから持ってきたパワードスーツを着用する。


★お気に入りのグローブ/ガントレット:

・リアルマンは、素手で戦う。

・真のロールプレイヤーは、命中に補正の入る、器用さの手袋を着用する。

・ルーニーは、某ネズミの国のアイツの4本指の手袋を着用する。ハハッ!

・マンチキンは、10本の指全てに、バフ効果のある指輪を着ける。



 ……これで大体、この話に出てくるマンチキンのイメージができたかと思います。


 さて、もしあなたがGMとなり、物語を共に紡ぐ相手が、皆こういったマンチキンなプレイヤーだったら、一体どうなってしまうのでしょうか?


 そう、このお話はそういうお話なのです。

 ――ではお楽しみください。

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