「漫画? 加藤が漫画?」

「それは学校でというのはどうかと思うけど、わたしだって漫画くらい読むよ」

 そうだったのか。俺の話の何割を理解しているのか分からないのにな。

 いよいよ自覚が出てきたのだろうか?

「安芸くん、聞こえてるよ」

「おう、それはすまんな」

「うん、まぁ大丈夫」

 このフラットさはいつもの変わらないか。この安全さ加減は。

「それで何の漫画なのか聞いてもいいか?」

「今読んでいるのはね『彼氏彼女の〇〇』だよ。少女漫画だね」

「聞いたことないな?」

「一応アニメ化もされたんだけど、散々だったみたい」

「加藤がそこまで知っているとは。俺も読んでみたいかもだな」

「あ、読む? でも、今ここにはこの本だけしかないんだよね」

 そうか。あらすじだけならネットでも調べられるが、それをやっていいものか。ネタバレは回避できないだろうし、変な先入観が入るのも良くないかもしれない。そこで話題をずらすことにした。

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