初日一番の準急電車「鷲羽1号」での旅立
与方藤士朗
第1話 山陽本線岡山電化と四国連絡準急の電車化・大増発
山陽本線の電化はこの1960年、ようやく倉敷以東と宇野線全線まで進展した。これで、四国連絡の本州部分はすべて電化された。それに伴い、これまでの蒸気機関車が電気機関車に代わり、さらには電車列車も岡山までやってくる。
これから電化が進む岡山以西の区間には、それに先立って気動車の準急列車が何本か設定された。翌1961(昭和36)年10月の白紙ダイヤ改正で全国に気動車特急網が形成されるが、それに先立って準急列車のこうした「無煙化」が、露払いの如く行われた改正でもあったのである。
それに先立ちこの年6月より、これまでの3等級が見直され、1・2等を1等、3等を2等にそれぞれ繰上げ、2等級制が実施された。
運賃もそれに応じ、改訂されている。
東海道筋はこれに伴い、ビジネス特急「こだま」に使用されている151系電車が「つばめ」「はと」にも使われるようになり、昼間の定期特急列車の冷房化は夏を前に100%となった。山陽筋は相も変わらず2等車はボックスシートの特別急行「かもめ」が走っていたが、東海道筋の変化は、山陽筋にもその影響を少しずつ伸ばしつつあった。
そんななか、この年10月のダイヤ改正によって、これまで客車列車で運転されていた四国連絡準急「鷲羽」は、すでに東海道筋で急行としてもその勢力を伸ばしつつある153系電車に置換され、しかも、1往復から3往復へと増強された。
岡山駅を通る上り準急「鷲羽1号」は、連絡船からの客を乗せ、宇野駅から宇野線を軽く走り切って9時3分、定刻で岡山駅到着。そして2分後の9時5分、宇野駅に引続き岡山駅での盛大なセレモニーに送られ、最新の東海型電車準急は、岡山駅を出発した。
なおこの日のテープカットには、日本国有鉄道総裁の十河信二氏も来場している。
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この準急「鷲羽1号」には、岡山から大阪の父の会社へと就職が決まった20歳になったばかりの若い女性が乗車することになった。
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