豊玉宗匠の憂鬱
ー 江戸 天然
~ 1860年 11月 30日 ~
「う~む……
昼休み。
「
「うおっ!」
肩口から手が伸び、机の
「
見付かった……!
「こ、今月、句を募集しててだな……」
「へぇ、意外な趣味が、あったんだね。
とし君には」
「とし君言うな!」
「え~」
惣次郎は、ケラケラ笑っている。
あーもう、だからコイツには、知られたくなかったんだよ!
「冗談だってば。機嫌、直して下さいよ。
で、何で俳句を?」
「……俺の
「彦五郎さんも。
「なぁに、そりゃあ、俺の方が……」
惣次郎が、机に広げた習作の中から、ぴらりと一枚を
『梅の花 一
「…………」
何だ、その反応は。
「……何これ。しかも豊玉って」
「俺の
「うわ……」
「
「又、子供扱いする!」
ぷぅ、と
「お茶が入りましたよ」
玉露の良い香りがする。
「ねぇねぇ源さん、これ土方さn「だ――っ!」
「…………」
源さんも、
だから何なんだよ、その反応は。
「……や、味わいがあって良いですな。
ほぉ~、梅の花。いやはや……」
「姉上や、
「なっ!?」
おみつさんが見た日にゃ、
原田なんざ「笑い過ぎて腹の古傷が開く」とか抜かすだろう。
「姉上~!
左之助さぁ~ん!」
「待て、こら!」
「只今、帰りました」
「あぁ、若先生、お帰りなさいませ」
「? 随分、騒がしい様ですが……
源さん、一体これは、何の騒ぎですか?」
「いや、惣次郎の奴が……申し訳有りません」
~ 1861年 3月 ~
「土方さん、
「今日、この会報で発表だ」
惣次郎と二人、恐る恐る
ゴクリ……
『大賞
「
「
俺は、がっくりと肩を落とした。
『あっはっは、悪いね歳三、アタシが貰っちゃったよぉ~♪』
能天気な義兄上の声が、頭の中に鳴り響いた。
~ 1863年 1月 ~
俺達は
「
「何です?土方さん」
つ『豊玉
「…………」
総司は、
せめて中身を見ろ。
「いいんですか?」
「何が?」
「私達が京で
土方さんを
並べられるかもよ?
本の
「何だそりゃ。表紙とか、
「
「いざ、京へ!」
「
「「「俺達の戦いは、これからだ!!!」」」
豊玉宗匠の憂鬱 ももちよろづ @momo24rose
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