カナリアな彼女(初期完成版)
冬夜ミア(ふるやミアさん)
運命について
ふっと、人生を振り返るたびに運命とは何かと考え込んでしまうことがある。最初は運命というものは、決められた不可知な流れであると考えていた。
けれど、その考えは成長と共に変化していき、ある時は既存の記憶が作り出した後の祭りのような虚構であるとか、人間関係、特に異性との関わりによって変化する因果律であるとも考えてきた。
確かにどの考え方も的を射ていたと自惚れにも称賛している。ただ、植物でいう根っこを掘り起こしただけで肝心な種や果実を得る考えではない。
これを書いている今でさえ『運命とは何か』についての答えは出ていない。現時点では『運命』という概念は、日々の行動の積み重ねと他人との関係を通して織りなされる流れであり、未来を照らす導きであると捉えている。
少なくともその流れの性質というのは一種の呪いのようなもので、かつて人生を無難に生きたいと願った淡い青年の夢さえ簡単に呑み込みでしまい。負けじとその流れでジッとしていると、周りからの風当たりが強くなり始め、冷徹で薄情な人間だと罵られるようになってくる。試しにその流れに身を任せてみれば、持つ気もなかった家族や会社、暇を持て余した変人たちに囲まれ、そいつらに日々引きづり回されるという、なんとも皮肉な方向性へと流される。
本当、無難からはほど遠いふざけた人生だ……。
とまあ、自分語りはここまでにして今回の本書の内容は、主に現在の妻、
正直なところ、親しい人たちについて書くことは頬を指で掻きたくなるほどに気恥しい事ではあるが、人生の節目としてなるべく包み隠さずに綴ろうとは考えている。
二回目
ふと、人生を振り返った時に『運命とは何か』と考え耽っていまうことがある。
初めてそのことについて考え始めたのは幼少の頃で、『運命とは』誰かが決めた不可逆的な流れであり、一生かけても識り得ることができない不可知なものだと捉えていた。けれども、こう何度も『運命とは何か』と考え続けているうちに様々な発見や考えが生まれて、その認識は成長と共に変化していった。
その例をいくつか挙げてみるとすれば、『運命というもの』は後の祭りのようなもので脳内にある既存の情報をもとに作り出された虚構的概念であるとか。はたまた、人間関係、特に異性との関わりによって引き起こされる因果律ではないのかと、真剣に考察していた時期もあった。
どの仮説も一定の筋と理解は示せると自画自賛しているが、本心からは納得していない。あくまで糸口——いや、きっと運命の表皮に触れた程度の考えでしかないのであろう。まだ肝心な『運命の果実』や『種子』といった、本質的な要素の輪郭すら拝めていない。
皮肉な話、こんなことを執筆している
とはいっても、流石に何も手掛かりも指針もなしに話を進めるのも癪なので、とりあえず『運命とは何か』についての設定付けだけは無理やりにでもやらせてもらう。
『運命とは』日々の行動や思想、他者との関わりによって織りなされる不可逆的な流れであり、それは一定の未来を導き出し、映る現実に影響を与える概念である。
詳細を加えておくと、少なくともその流れには『呪いの性質』を持っており、当事者の願望など簡単にねじ伏せてしまい、その運命が望む方向へと押し流してしまう傾向があるようだ。それはかつて『人生を無難に生きたい』と願った青年の思いさえ簡単に打ち砕き、その流れに逆らおうと斜に構えたとて、気付けばその運命の流れの意に沿わされて無駄足であったことを
試しに抵抗をやめて素直にその流れに身を委ねたならば、案の定、以前の日常と大して変わらず、理不尽にも激流に揉まれ、事を振り返り思い出すころには、本当に自分が歩いた道なのかと疑ってしまうほどの人生が出来上がる。
さらに唖然としてしまうことなのだが、あらためて周囲を見渡たしてみると、自分が求めもしなかった友人や家族に囲まれ、時々面倒くさいと思うことはあれど、誰かと共に居られる幸せな毎日を過ごさせてもらっている。
本当に何でこうも無難な日々から遠いふざけた人生を送らされていうのやら……。
とまあ、自分語りはここまでにしといて、そろそろ本書の内容について触れて行くことにしよう。
今回は主に『自分の妻である
正直なところ、親しい友人や家族について書くことは頬を指で掻きたくなるほどに気恥しい事ではあるが、人生のひとつの節目としてなるべく秘密を隠さずに綴っていこうかと考えているから、よろしく頼む
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