血滴る肉の華が狂い咲く。狂気のゲーム、開幕――。

”映え”
現代人の多くはこれを意識して写真を撮っているだろう。
その美しさ、魅力を誰かと共有したいという思いに加えて、やはりSNS内で目立ちたい、そんな承認欲求も誰しもが少なからず持っているに違いない。

本作に登場する”キルグラマー”もまた同じである。しかし、その撮影対象は死体。それもただの死体ではない。彼ら独自の美学によって生み出された死体である。”キルグラマー”達は演出した作品をSNSに上げ、その評価によって承認欲求を満たしている。

そんな、既に人殺しである彼ら、しかも死を美に昇華させるようなサイコパスオブサイコパスの間で繰り広げられるゲームである。そんじょそこらのデスゲームとは訳が違う。気に食わないと思ったら殺すし、美しいと思ったら殺す。そんな奴らの集まりなのだ。まさに新感覚デスゲームだ。

作者の筆致は容赦ない。バイオレンスな戦闘シーンに鮮明な赤い血飛沫。主人公イーブルが心を通わせた”仲間”とも呼べる者たちも次々に命を落としてゆく。それも残忍な方法で。さっきまで生きていたのに、とあまりにも唐突に死を迎えるキャラクターもいて、ゲームの残酷さ、そして緊迫感溢れる様子がありありと伝わってくる。

本作の見所は何より異常な愛情である。殺したいほど愛している、比喩表現でも何でもなく、まさに彼らを表すのはこの言葉だ。彼らはその血、その肉に恋焦がれているのだ。イーブルに寄せられる愛情は狂気を帯びているが、それを彼らのうちでは純愛と呼ぶのかもしれない。その歪み切った愛の行方はいかに――。

読者を選ぶ作品ということは確かである。しかし、その狂気に貴方は心底慄き、手に汗握る展開に魅了され、本作品の虜となるだろう。それを完結まで見守ってきた(すっかり虜になって更新を日々心待ちにしていた)私が保証する。

ここから完全に私事だが、今回レビューを書くのが初めてである。なぜ書こうと思ったかというと本作はもっとスポットライトを浴びてもいい、というか今後浴びることになるであろう作品だと思ったからだ。私の影響力はそんなにないが、多分そういった方々の目に留まれば、瞬く間に人気が出てしまう作品だろう。それほど、面白い。もうスクロールする手が止まらない。そんな作品だから、早めに古参感を出しておこうという魂胆である。これも独占欲?(夜咲くん最低)とにかく……ハラハラドキドキの次元を超えたこの狂気を誰かと共有したい、そう思うほど最凶・最恐のデスゲーム作品だ。激推しする。長々と失礼しました。

最後になりましたが、いちファンとして、無名乃先生に。
素敵な作品をありがとうございました。
次作も楽しみにしております!