特別編1

特別編〜兄と弟〜

特別編〜兄と弟〜

「さぁて、仕事が山積みだったし某動画サイトでも見て、リラックスしますか!」

立て込んだ仕事を捌き終えた俺は、息を吐き、エナジードリンクを片手にPCを開いた。

「ん?」

すると、謎のアカウントから一件、謎のメールが来ていた。

普通なら迷惑メールとして無視するだろう。しかし、そこにはこう記されていた。

「この配信を見てくれ兄弟」

俺は目を見開いた。

「あいつもなかなかやるな、今日最後の大仕事、見てやるか」

俺はそのURLを開いた。

すると、某動画サイトの配信URLに飛ばされ、ある一件の配信が開かれた。

その配信はおすすめ広告欄に流れていたから、一度だけ見たことがある。

配信の最後、俺は最近で一番知りたかったことが知れた配信でもあった。


「みんな〜こんばんわ!今日も配信始めていきまーす!改めまして、moon night3期生の夕凪紅月です!」

この間聞いたタレントの声、その時、聞き慣れた声が配信に出てきて、俺は思わず息を呑んだ。

「初めまして!みなさん!今日はコメント返信の助手として登場します!moon night3期生ディレクション及び、スケジュール管理を担当しているSです」

「と言うわけで、今回はコメント返信の助手として、Sディレクターに来てもらってるよ!」


「兄弟......」

俺は言葉をこぼした。

「じゃあ早速、最初のコメント」

それから配信は謎のディレクターSの登場と楽しそうにコメントを返す二人の様子で盛り上がり、あっという間に時間が過ぎた。

「おっと、もうこんな時間だ!じゃあ最後にSディレクターが"ある方"に伝えたいことがあると」

「はい、では改めて、おい兄弟、この配信見てるんだろ?だったら手紙を寄越したお前に言いたいことがある。耳かっぽじってよ〜く聞いとけよ!今、お前に何が見えてるか?だったよな、俺に見えてるのは.......


幸せな、居場所だよ


だから安心して、毎日を過ごしやがれ、またいつか会おう、青くて広い、この空の下で


good luck!my brother」


「ありがとうございました!兄弟に向けての言葉だったんですね!本当に見てくれてるんでしょうか?」

タレントが発したその言葉に、いてもたってもいられなくなった俺は、コメントを出した。


「俺もお前も、変わらねぇなあばよ"兄弟"」


そのコメントに、反応した二人

「っ......!?兄貴!?」

「え!?本当に居たの!?」

その反応を最後に配信を閉じた。


「これでやりたいことは無くなった、お別れだ、可愛い弟分


thank you for loving me」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る