第7話 女神の考え
わたくしは、わたくしのことを祈ってくれるグラート家はあってほしい領地です。ですが、グラート領は他領に落とし入れられてしまう未来があるのです。その未来を変えることは不可能でしょう。私が手を加えない限り…かと言ってあの子に未来の話をするわけにはいきませんでした。
でももし領地が安定していたら違う結果になるかもしれません。
あの子は計り知れない生活能力を持っているのです。思考回路を見たところ頭も悪く無いし、性格も問題ないと言えます。そして何よりステータス基準を裕に上回る能力、申し分ありません。
グラート家、グラート領のために頑張って魔力を増やします。嬉しい事に神の魔力量は増えるのです。
未来の話をしなかったのは制限違反になるからです。あの子に未来の話をすることは、制限違反となります。もし、制限を違反するようなことをすれば命がないと思っていいでしょう。制限も物によって罰の重さが異なります。A、B、C、D、Sと分けられていて、制限を刻み込む時に階級は刻み込まれません。その階級が分かってしまえば制限を違反しても特に問題ないと思い、制限を違反する者が出るからですって。以前違反を繰り返した者が処刑されたそうです。いくら神と言えど元は人間だった者が多いですから弱点もあります。1部を除いてですが。制限の階級を刻み込まないのは違反をさせない為の対策でしょう。奥底ですが……
未来の話をするのは違反しています。世界に声を届けるくらいなら大丈夫かと。
(今のわたくしには無理でしょうけど、召喚と転送で魔力を使い切りました。神の魔力は貯めるのが大変なのであまり軽々と使えません)
女神の見た目は当てにならないでしょう。なぜなら、女神の見た目は一生変わらないのですから。わたくしがいくら子供に見えても実際年齢は違うのです。歳を重ねるたびに知識が豊富になり、その知識も刻み込まれるのです。刻み込むことに抵抗しなければより多くの知識を得られるそうです。わたくしは女神となって200年と少しですがグラート領のことはあまり知りません。
それでもグラート領の歴史くらいなら大まかに知ってますよ。女神だって勉強しなければわからないですからね。私は元人間ですので。たまに女神と神の間にできた子供がいますけど。
女神と言っても気楽ではないのです。ちゃんと書類仕事がありますからね。ここに溜まっている書類の束が見えるでしょう。これこそ人生の終わりだと思います。いくら命が無限だと言っても元は人間です。お腹も空きますし、眠くもなります、痛みだって感じるし、体調を崩すこともあるのですよ。一部のものですけどこの様な感情がない者もいます。
この世界は鐘の音で仕切られています。1度目の鐘で起床、2度目の鐘で各仕事に行き、仕事の開始、3度目の鐘で昼食、4度目の鐘で仕事開始です。5度目の鐘は各仕事の終わりを告げます。6度目の鐘は就寝の時間です。使用人はこの鐘はガン無視です。
学生の場合は、1度目で起床、2度目で通学、3度目、4度目、5度目の鐘は授業の開始や終了を意味します。6度目の鐘は昼食、7度目、8度目、9度目は授業の開始や終了を意味します。10度目の鐘は帰宅時間を示し、11度目の鐘は就寝を示します。学生は寮で過ごす者が多いですね。私の通っていた学園が全寮制でした。
あの子の場合鐘の音は、ほぼほぼ無視されていますけどね。ちなみにわたくしもですね。鐘の音なんて気にしません。
ちなみに私の正体はウェアラージュ帝国第14皇帝の娘、第一皇女ローレシアです。なぜ女神になっているかですって?それは、ある魔力実験に巻き込まれたのです。その魔力実験により、私の魔力が女神級になったしまったので女神にされた。という所でしょうか?こんな理由で女神にされたのは私が初めてでしょうね。
その時は災難だ。と思っていましたけど今はある意味感謝しています。永遠の時を生きる事ができ、この世界の事を見守る事が出来るのですから。
それにわたくしの大好きな魔法について一生研究することができるので今は女神になって良かったなと思っています。
転生させ、書類を整理していた所あの子は王になることができる王候補の一人でしただからとんでもない力を持っているのです。彼は知る術がありませんなので知らないでしょう。結構大変な事になりました。自分から王族になろうとは性格上思わないでしょう。でも、もしかしたら気づくかもしれません。いえ、気づかせるのです。わたくしのせいで王になれなかってなんて可哀想ではないですか。今の王族はだらしないですから玉座を奪おうと思えば奪えると思います。
わたくしは出来る限り協力をしましょう。そして、王になってくれること期待するしかありません。
ここで、あの子のが王になればわたくしの評価もだいぶ上がります。そうすればもっと手助けが出来ます。
新しい者の召喚ではなく、あの子の王のなるための手助けに魔力を使うことに致します。
いつか、わたくしはあの子に声を届けて王になってくれるように根回し致しましょう。あいにくあの子のスキルには「神の声」がありますから。無理ではないはずです。
それに情報収集という名目で手紙を出せますので問題ないです。
早く祠に来てくれないかしら?
まだ流石にいけませんね。
年齢からすると家から出られないでしょう。
外に出られるのは早くて6〜7歳くらいでしょうか?私が初めて城の外に出たのは10歳の学院又は学園に行く時でした。それも城から馬車で行った為、街の地に足をつけることなんてありませんでした。その後も寮で過ごしていた為、街に出たことがありませんでした。
初めて街の地に足をつけたのは16歳の時、魔法研究所に行った時でした。
この子なら早く外に出てくれるはずです。
祠にたどり着けるようにその日だけ父親を操ってしまいましょうかしら?流石にダメかしらね。
目立つようにするのもいいですが魔力の線を引くのもいいかもしれません。どうやって導こうかしら?いい案がたくさん見つかって決め難いですね。何で誘き出そうかしら?
そんなことを考えながらティーカップを手に取りました。紅茶が少し冷めてしまいました。随分と考え込んでたのでしょう。
無事に事が進むようにしなくてはなりません。これから随分と忙しくなりそうです。未来の王の為に力を尽くしましょう。
でも、わざわざ中央に行かせなくてもいいですかね?領地の格が上がればその領地が中央になることだって可能なのですから。領地の大きさは格によって違くなります。格が高くなればなるほど大きくなるのです。領地の位置が違くなるのはどうなっているのかわたくし、知りたいのです。まあ、とんでもない功績をあげない限り無理でしょうけれど。今まで平凡を望んでいましたので仕事も常人でしたし。
中央になると神からの補助、祝福が得られるようになります。祝福の得方は簡単です。神に祈りを告げ、信頼を得れば良いのです。
わたくしはグラート領のことをあまりよく知りません。かつての中央についての資料なんてありません。でも、少し引っかかるところがあるのです。他領は、祈りなんて告げていないのにグラート領だけはずっと祈ることをしているという所が少し引っ掛かりますね。グラート領はかつて、中央だったのではないかと考えているのです。一応中領地でも大領地に近いですし……
もし、そうだった場合祝福を施すことが簡単になることでしょう。いつでも祝福が得られるのと定期的に得られるのとではいつでも得られる方が良いでしょう。
さて、観察しながらお茶でも飲んで過ごしましょうか。
そういえば他の神たちにも見て貰えるように宣伝しましょう。竜馬くんでしたっけ?とっても面白い所が見られそうです。
竜馬という名前はアーレスト王国の者に似ていますね。まぁ偽名として名乗っても大丈夫でしょう。
なんか冒険者に興味を持っていた様に思えたので、前世の名前を偽名として使うでしょう。転生者は転生前の名前を使うものが多いと聞いたことがあります。
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