神剣とFallenAngel Ⅳ
「ちぃっ!?」
「いける!」
シャングリラは、ただ僕の手にある天叢雲剣のことを恐れていた。既に何度も身体を切り裂かれ、ギフトを幾つも奪われているシャングリラだが、八咫鏡と八尺瓊勾玉は未だ手放さず、天叢雲剣から逃げ続けている。
因みに、手にあるとは言ったが、天叢雲剣は僕の手から離れて周囲を飛び回っている。日菜と僕を中心に、エレボス団長と椿が外からサポートしてくれている。
「とりあえず、あのビームは恐らく八咫鏡だと思うから封じるためにも斬って欲しいんだけども……」
僕の意思通りに物を切ってくれるわけでもないので、神剣に全部任せるしかない。
「貴様ら如きに、負けるはずがない!」
椿とエレボス団長から放たれた遠距離攻撃に対して、シャングリラはぱっと一瞬だけ光った。なんの意味があるのかと思ったが、次の瞬間にはいつの間にか僕と日菜を遥かに超えて、椿とエレボス団長の背後に移動していた。
「速い!?」
「速いんじゃない!」
加速していた僕の目にはしっかりと見えていた。シャングリラは、ぱっと光った瞬間には光と共に二人の背後に移動していた。今のは高速移動ではなく瞬間移動だ。間の距離の移動など一切存在せずに、僕の加速した視界にも映らない移動方法。この力がどんなギフトなのかは全く分からないが、これを使えばシャングリラは悠々と天叢雲剣の範囲から逃れることができるはずだ。
突然、背後に現れたシャングリラに椿が驚愕で固まっている横で、エレボス団長は即座に小規模の竜巻を起こしてシャングリラにぶつけた。
「効かん!」
竜巻なんて効果がないと言わんばかりに、シャングリラは竜巻を無傷で突破してエレボス団長に近寄った瞬間に、僕の横を飛んでいた天叢雲剣がとんでもない速度で飛んでいった。
「はぁっ!」
「ちっ!?」
天叢雲剣に追随する形で、僕も加速して一気にシャングリラまで近寄る。途中で天叢雲剣を手に取り、その勢いのままシャングリラへと突進する。それを避けるために、シャングリラが再び光って瞬間移動した。同時に、僕の手から天叢雲剣が勝手に飛び出してさっきまで向かって行った方とは真反対に飛んでいき、それを日菜が手に取って現れたシャングリラの腹部に突き刺した。
「がぁっ!?」
「残念でしたね」
日菜の宣言と共に、シャングリラは腹部を切り裂かれて翡翠石の勾玉が飛び出した。
「八尺瓊勾玉っ!」
「ぐぉぉぉぉぉ!? 俺の手にした力がっ!?」
八尺瓊勾玉がシャングリラから切り離されると同時に、堕ちた天使のような姿をしていたシャングリラが、元の姿へと戻っていく。
自らを神と名乗っていたシャングリラは、神剣によってその力を削がれた。後は八咫鏡だけだ。
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