Gangの最期 Ⅰ
「あいつの引力と斥力の弱点は、同時に発動できないことよ!」
「……つまり、引力が発動している瞬間に、攻撃しろと?」
「そういうことよ」
「中々、無茶をおっしゃる」
まぁ、方法が無い訳ではないが。
そこまで弱点がわかっているなら、攻略方法も当然ある。
レオーネは、自分の背中に刺さっているナイフを抜きながら、こちらを睨みつけた。こっちと言うよりも、俺の隣にいるエレオノーラを睨みつけている。
「確かに、俺のギフトは同時に二つの力を発生できない。だが、それがわかったところで、お前の加速程度なら反応できるぞ」
そう。レオーネにまだ余裕が見えるのは、僕の限界である五十倍まで加速しても、ギリギリで反応できることにある。引力を発生させた瞬間を狙った攻撃しようとしても、切り替えが早すぎて中々チャンスにならない。
エレオノーラのナイフが刺さったのは、僕に意識が完全に向いていたからだ。
それと、もう一つ気をつけなければならないのは、レオーネが本気で斥力と引力を発動すると、僕が五十倍で加速しても抗えないこと。これが一番の脅威だ。
「大丈夫よ。なんとかなるでしょ?」
「……まぁ」
エレオノーラからの信頼が凄い。まぁ、恐らく彼女が考えているのは、引力の発動中に時間を停止させての攻撃だろう。それが上手くいく可能性は充分にあるので、僕も最大限狙ってみるが、どうなるか。
「来い!」
レオーネが思い切り声を張り上げると同時に、僕は十倍で加速して地面を蹴る。刀でとりあえず攻撃するが、斥力で弾かれる。
レオーネはなんとかできるのなら何とかして見ろと言わんばかりに、僕に向かって引力を発動させる。僕はその力に抗うことなく、ある程度まで引きずられてから時間を停止させる。
「はっ!」
時間の停止した世界ならば斥力で防ぐこともできない筈だと思い、刀を思いきり振るう。時間にあまり余裕はないが、右腕の腱を切断することができた。続いて攻撃しようとしたが、時間の停止が限界だったのでそのまま加速して攻撃する。
「ぐぅっ!?」
時間が動き出すと共に、レオーネが右腕の痛みに襲われながらも、咄嗟に斥力を発生させたので、僕は簡単に弾き飛ばされていった。ただし、やはり停止時間の中ならば攻撃することができそうだ。
「だ、大丈夫?」
「なんとか。でも、攻撃も当たった」
「……加速小僧、加速だけがギフトではなかったか」
まぁ、今の僕の動きは加速するだけでは全く説明がつかない能力であることは自覚している。とはいえ、初見で僕のギフトを見抜くことはできないだろう。
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