『ドクターごき』

やましん(テンパー)

『ドクターごき』


ごき少佐


 『やましんさんが、病気とかごき。』



ねこママ


 『うんにゃ。前立腺に異常があるみたいにゃん。担当ドクターが、慎重に構えていて、まずは、抗菌薬を飲んでるみたいにゃ。2月になったら、すぐまた、検査にゃんこ。もともと、尿管にステントが入ってるから、細菌に感染しやすいにゃん。がんの可能性も、なくは、ないにゃん。でも、こういうのは、今回が、たしか、3回目にゃんこ。ほかに、高熱をだすことも、あるにゃんこ。それは、腎盂腎炎にゃん。今回は、ちょっと違うみたい、にゃん。』



ごき少佐


 『われわれは、もっか、冬ごもり中でありまごきが、ドクターごきの派遣も、可能ではありごきな。』



ねこママ


 『まあ、やましんは、遠慮するにゃんこ。』



ごき少佐


 『われわれの、ごき医学は、非常に優れているごきが、人間には、嫌われるごき。我が、ドクターごきならば、いっぱつで、診断を下せる力があるごき。』



ねこママ


 『にゃんこ。ドクターにゃんこ、も、いるにゃんこが、人間は診ないにゃん。まあ、ごきさんよりは、人間向きにゃんこなにゃんこ。』



ごき少佐


 『にゃんは、癒しになるが、ごきは、癒しにならないらしい。なぜだか、ごき。』



ねこママ


 『おそらく、長い長い、進化の歴史のなかで、人間は病気の感染に絡みやすいと、事実、または想像させる虫が苦手にゃん。ちゅうは、虫ではないけど、歴史の中でも、最強の敵にゃんこ。また、人間は、家の中に、家族でもペットでもない、よそ者が入り込むのを、ひどく、嫌うにゃんこ。それは、にゃんこも縄張りがあるにゃんから、分からなくも、ないにゃん。人間は、お金持ちほど、でかい屋敷を持ちたがるにゃん。広い縄張りが欲しいからにゃんこ。縄張りが広いことに、優越感と、安心感を持つからにゃん。だから、いつも、縄張りを広げたがるにゃん。ごきさんは、そこに、わりに、簡単に、侵入するにゃん。それに、都市化が進んで、虫さんに耐性がないにゃん。昔の家は、くもさんや、むかでさんとか、いて、当たり前だったにゃんこ。むし、と、めし、が、一字違いなのも、深い因縁を感じるにゃん。』



ごき少佐


 『ごき。しかし、やましんどのは、家主さまであり、大切な食糧の提供者ごき。粗末にはしないごき。わるい病気は、心配ごきな。』



ねこママ


 『なら、そう、伝えてみるにゃんこ。』



 翌日の晩、やましんの枕元には、心配そうなごきが、十ごきほど、じっと、佇んでいたのである。


 うち、いちごきは、聴診器や、検査装置を持った、ドクターごきであった。



 はたして、やましんに、真意が伝わったのであろうか?


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『ドクターごき』 やましん(テンパー) @yamashin-2

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