第4話 科学?ASEも程々に
「じゃあそろそろ事情聴取を始めようかしらっ」
「はい、分かりました。」
なんだろデジャブを感じる。
「じゃあまずはいつ催眠にかかったか聞かせてもらいましょうかっ」
「はい、確か1週間前に後ろから女の人に話しかけられて...そこからの記憶が曖昧で...」
「つまり催眠を受けたのは1週間前ということか」
「そういうことになるわねっ」
ついさっき聞いたのだが今回催眠された洋香先輩は潜伏タイプという種類にあたるらしい、普段は特に暴走してる素振りを見せずにここぞと言う時に暴走を始めるらしい...そしてここが最大の特長なのだが潜伏タイプは基本ツーマンセルで動くらしいのだ。
「それでっ相方のことは覚えてる?」
「申し訳ありませんが全く覚えていません」
「でしょうねっ催眠をかけられた人はその時の記憶がとても曖昧になるから...じゃあ心当たりはあるかしら?」
「心当たり...恐らく私と接点がある人間が相方でしょう?だとしたら1人可能性があるやつなら居ます」
「ほおそれは誰かしらっ」
「科学部の副部長 菊池香澄(きくち かすみ)です。」
〜***〜
「結論完璧♪実験順調♪結果良好♪」
楽しい楽しい実験は続いている...なのに...なのに...
「ぶちょお〜どこいったんですかぁ〜せっかく2人で研究しよう思ってたのに〜」
まただふとしたきっかけで部長のことを考えてしまう!ああ!部長!部長!部長!私だけの部長!研究と汗にしか興味がない子供のように無邪気で可愛い部長!嬉しいことがあったらちゃんと私に報告してくる可愛い可愛い部長!ああ!部長!愛すべき部長!
「はぁはぁやだ私ったらぁまた部長のことを考えてぇ」
私は床に倒れ込んだ身体を起き上がらせ研究の続きを始める。
「待ってて下さいぶちょぉこれさえ完成すればぁ私たちののぞみはぁ叶います!」
ふっふっふっふっ
〜***〜
「うっ」
科林先輩は自分の身をブルっと震わせる。
今いる場所は屋上で風当たりもいいのだがまあ外は普通にめっちゃ暑いから関係ないか
「どうしました?」
「いやちょっと悪寒が、まあ別にどうってこともないから安心してくれ」
「そういうなら...でもそれよりほんとにアレやるんですか?」
「ああ勿論、キミも協力してれると言ってくれたじゃないか?」
「そうですけど...」
ほんとに大丈夫だろうか?一応秘密兵器は持ってきているのだがそれでも心配だ。だって昨日の話的には...
ーー昨日ーー
「香澄は科学部の副部長兼私を除けば唯一の部員だ。普段から色々な研究を手伝って貰っている、だがいかんせん自分の研究をしようとはしない奴だ。」
「まさに研究助手って感じねっ」
「まあ私の相棒と言える存在だ、だから相方となるならこいつかなと」
「確かにっ可能性は高いわねっ」
「それで相方はわかったけどどうすればいいんですか?」
「そうねっそいつが相方である証明をしなければならないわっ」
「なんでですか?すぐ叩けばいいのに」
そういうと葵は手と拳を勢いよく合わせる。
殺る気満々の様だ...多分対処するの僕なんだけどね...
「はぁ警察は証拠も無いのに完全な決めつけで逮捕できるからしらっ?それと同じよっ、クワトロハンドを使える条件は2つで催眠被害者が明らかに暴走してる場合ともうひとつ決定的な証拠が見つかった時よっ例えば目がハートになってる写真があったりなんかとてつもない計画を起こそうとしてる書類を見つけるとかそういうのねっ」
「でもそれなら目を見てハートかをすぐ確認してから写真でも取ればいいじゃない」
「それは無理だね香澄は普段から目を隠している所謂目隠れ属性と言うやつだ。」
葵の提案した方法も結構強引なのだがどうやらそれだけではなんとなならないらしい、目隠れ属性って現実にいたんだ。
「目隠れ...それじゃあすぐに断定ってことは出来なくなったわねっ」
「だったら次やることは...」
「調査ってことですか」
どうにかして髪をどけて菊池さんの目を確認しその写真をとる。正直面識のない僕たちには難しい...いやはっきり言って不可能なミッションだ。
「それなら話は早い...私が調査しようこれは私が適任だ。そこに異論はないだろう。」
優雅に足を組みながら科林先輩は告げる。その目からはかなりの自信が伺える。まあ唯一この中では交友もあるし的なのだろうしかし何故だろう変な胸騒ぎがするのは...
「香澄は私に対してかなり大きな信頼を寄せている。それはもう犬みたいに...この前だって私のASEをペロペロ舐めていた」
「待って!今なんと!?」
「それはもう犬みたいに...」
「そこはいい!いいんです!」
胸騒ぎ、的中
「ああ私のASEをペロペロって話だろう可愛いよな」
「いやいやそういう話じゃないですよ!危ないですって今回!やっぱ別のとこで大人しく待っていてください!」
「いやいや大丈夫だよ、それに前の時は暴走とやらしてしまったらしく記憶が薄い、今度こそちゃんと案内したいんだ。」
「いや...それはいいんですけどでもそれはほんと後にしません?多分というか確実に襲われますよ」
「はっはっはっもしかして心配してくれているかな」
「そりゃあしますって!」
ーー現在ーー
「まだあのことを心配してるのかい?心配しょうだねぇ」
「そりゃあ心配しますってほんとに」
まあ結局葵のなしなは初対面の人と話すのまじ苦手なんです。の鶴の一声のせいで結局科林先輩も着いてくることになってしまった。ちなみに葵は行きたがってたが補習があり行けないらしい。
「さてと...そろそろ行こうか」
「はい」
「段取りは覚えてるね?」
「はいまず科林先輩が僕を部室に案内して菊池さんに紹介する、その後自然な形で僕か科林先輩が目を確認し、相方だという確証を掴み次第クワトロハンドで催眠を解く...ですよね」
「一言一句寸分違わず答えなくてもいいのに大した記憶力だ。」
「まあ暗記は得意なんで」
褒められたのが嬉しくてちょっと自慢げに胸を張る。
当然胸なんてないけど
「あとひとつ補足だ、目を確認する方法にはイロイロスケールクン(カメラ付き)を使う、衣服や髪を透けさせてその奥のものを確認できるらしい。」
「え...そんなこの状況のためみたいなもんがあるんですか?」
「ああどうやら当時の科学部部長が当時の顧問に頼まれて作ったらしい」
「あーなんかなんで作られたのか分かっちゃうの嫌だな」
「ちなみにその顧問は1ヶ月もせずに盗撮の罪で捕まったぞ」
「やっぱりか」
「まぁ誕生経緯はともかくせっかく残されたものだ使ってみよう」
そういうと先輩はイロイロスケールクンをつけダイヤルらしきものを調節してる。
「おーちゃんと見えるぞーなしな君ヒーロー柄のパンツなんて今どきかわわいいね」
「何僕のことぞいてんすか!」
「はっはっはっごめんごめん」
それにしてもイロイロスケールクン、クソみたいなネーミングセンスだがすごい発明だ...クワトロハンド作った人と同じだったり?んなわけないか...
「っと色々だべってるうちに着いたぞ」
「あっホントだ」
「それじゃあ入ろうかどうかくつろいでくれ」
「くつろげないと思うんだけどなぁ」
学校特有の引き戸の扉が開かれ僕達は再び科学準備室へ入るのだった。
「さぁさぁ入ってきたまえ今度こそ色々紹介しようじゃないか」
「はい」
一応これ調査だから気を抜かないようにしないとなー
なんて思ってたんだけどね...
「なしな君!これを見てみろ!」
「えええええ!」
僕の目の前で宙に浮くマウス!
「これ物理法則無視してるじゃん」
「これが摩訶不思議発明シリーズ第一弾!極限圧縮空気!こいつはめちゃくちゃ圧縮された空気でもはや質量や質感は鉄に引き気取らない!」
「すっすげぇ!」
なんか普通に楽しんでいる。
だってしょうがないじゃんめっちゃ面白いんだもん圧縮空気とかしなりすぎて逆を叩くムチとか大銀河流星剣とか面白いものばっかなんだもん
「どうだい?科学は素晴らしいだろ?」
「はい!面白いことばかりで見てて楽しかったです」
「それは良かった。私は...前の1件で科学が嫌われていないか心配だったんだ」
「先輩...」
「科学って言うのは面白くて楽しくてとても素晴らしいものなんだ...それを今回の私や香澄の件で誤解してほしくなかった。」
「嫌いになるわけないじゃないですか!先輩達は被害者で元凶は他にいるんですから!むしろ僕は先輩のこと好きですよ...」
「ふふっそんなこと言ってくれるなんて嬉しいね、私を愛してるってことかー」
「いやそれはまたちょっと違って先輩としてというかなんというか」
「はははは、わかってるよちょっとからかってみただけさか。でも君みたいな美少年が好きなんて言うのはちょっといただけないな、勘違いしてしまう。」
「はい」
「でも私を励まそうとしてくれありがとうおかげて元気が出たよ」
そう言いながらくしゃっと笑う科林先輩の姿が窓からさす陽の光に照らされたからかやけに美しく見えた。
〜***〜
「はあああああああああ?なんだよあいつぅ?私の部長となんかいい雰囲気になりやがってえぇぇえええええ!ふざけんな!」
私の私の可愛い可愛い部長になに唾つけてんだあの売女わああああああああ?まあちょうどいい先輩と私2人でしわあわせになる薬はもう完成したんだ!あとはあいつを殺してええええええええええええ
目の中のハートが強く光るのを感じる、あぁ部長♡部長とお揃いのこの目♡この目に誓って絶対に部長のこと幸せにしてみせます♡
〜***〜
ガチャッ
僕達がそうこう話しているとドアが開く音がする...
「部長いますかー?」
目がちょうど隠れるぐらいには長い前髪をふらふらと揺らしながら入ってくる。背格好は科林先輩よりやや低くちょうど僕と葵の身長差ぐらいだ。(ちなみに僕は低い側)
多分彼女が菊池香澄...もう1人の催眠被害者だ
「ああここにいる何かようか?」
「はいちょっとそこにたってて下さい」
「え?」
瞬間、菊池さんは唐突に鎖っぽいやつを取り出す
「待てそれは!」
「クサリシバリアゲールクン起動!」
「「うわっ」」
起動を宣言したと同時に僕と先輩は鎖で縛り上げられる。しまった完全に策にハマってしまった。
「クサリシバリアゲールクンなんて骨董品良く引っ張り出てきたね香澄」
「これも先輩への愛の賜物ですよォ、でも」
菊池はこちらの方をギロっと睨む、めっちゃ怖い
「ほかの女の子を連れてくるなんて釣れないですねぇ、まぁあなたのおかげで私も部長の恋愛対象に入るのが分かったのはいいことだけど」
「僕は女の子じゃない!男だ!」
「嘘つけぇ!お前みたいなシコい男がいるか!お前を男だと認める訳にはいかん!」
「理不尽だ...」
「それで香澄、君は私たちをどうするつもりだ」
「そうですねぇ私が用があるのは部長だけ、この白髪泥棒猫にはなんの興味もないのですが...まあ私の作った薬の実験体ぐらいにはなってもらいましょうか」
「薬?」
「そうです!大変でしたよ部長に隠れながら研究するのは、バレたら全てがおじゃんでしたからねぇ」
「ちゃんと自分の研究はしてたってことか」
「ええ、だから部長に使ってあげます『感度30000倍になる薬』」
感度3万倍?何処ぞの忍びの10倍ってこと?やばいやばいやばいやばいそんなの使われたら廃人になるぞ...
「それじゃあ今から...あれ?どこいった?もしかして持ち忘れた?」
菊池は自分リュックをガサゴソ探し始める...どうやら感度を3万倍にする薬を探してるらしい
「やっぱないな、取りに行ってくるか」
そういうとそのまま菊池はそのまま廊下へ駆け出す。1発アウトは...逃れたのか?いやそれよりもこの鎖を何とかしなきゃ
「うっ外せない」
「外すのは無理だよ、これは鉄より硬くて人体に傷がつきにくい特殊オリハルコン製だからね」
「またなんでこんなものを...」
「確か脱出マジック用だったかな、わざわざ単体で完結できるように作られている代物だ。簡単には外せない」
「マジですか...」
「イロイロスケールクンもそうだけどなかなかすごいものを作る先輩だったからね分野は違えど憧れだったよ」
「名前から予想してたけどやっぱ同じ人なんだ...」
僕達は雑談をしながらこの状況をなんとかしようと考えると色々考えるものの結局いい案が思いつかない、一体どうすれば...考えを巡らせるなにかなにか脱出する方法はないか頭の中で考え続ける。
「とうちゃーく!さ〜てまずは白髪の売女で実験してみますか〜」
そうこう考えてるうちになんと菊池が戻ってきてしまう。このままではマズイ、確実に2人とも廃人にされてしまう
なんとかなんとかしなければ
〈「確か脱出マジック用のものだったかな、単体で完結できるように作られている代物だ」〉
そうか!突如脳裏によぎった。先輩の発言により僕は最後の可能性にかける
「先輩これの脱出ギミックってなんなんですか?」
「脱出ギミック...そうかどうやら私は相当パニックになっていたらしいこんな簡単な方法も思いつかんとは、磁石だ!磁石されくっつけられればオートで外せる仕様だ!」
「だったら!」
僕は無理やり飲まされそうになるのに抵抗しながら、自分のポケットを探りネオジム磁石を取り出しくっつける
すると...
かちゃん
「外れた!」
僕はその勢いのまま菊池を突き飛ばし急いで先輩にも磁石を取り付け鎖を解く、そして近くにそのままで置いてあったクワトロハンドを手に取り...装着する
【クワトロハンズ!!ON!!ON!!⠀】
「ここからが本当戦いだ!」
「いっつ〜まあいいわ、まだ感度3万倍の薬は残ってるこれ際かけることが出来れば...」
僕達は言っての間合いで様子見をし合う。この勝負の先に動いた方が負ける...相手もそれをわかっているのだろう互いに迂闊に動けない。
「観念して3万倍の感度を味わいな」
「断るね」
「諦めが悪いね、確かにこの状況先に動いた方が負ける...でもリーチは薬品を投げられる私の方が上...この勝負ほぼ私の勝ちよ?」
「さあ?それはどうかな?先輩!今です」
「ああ!」
カシャッとカメラの音が鳴り響くこれで目のハートを撮るのには成功した、ならあとはあれをお見舞いしてやるだけだ
【ハート!!マグネ!!ストライク!!】
僕はマグネハンドを起動し左手でポケットの中からネオジム磁石を取り出す
「それを...どうするつもり?」
「こうする。」
僕はネオジム磁石を一斉宙に放り投げそれをマグネハンドでかざす、するとネオジム磁石達は反発して飛んでいく!
「うお!なんだこれは!」
菊池は動揺し咄嗟に感度3万倍の薬を放り投げてしまい結果的にネオジム磁石によって全てを弾かれるそしてその隙を僕は逃がさない。
【ダイヤ!!エレキ!!ストライク!!⠀】
「ここで決める!」
一気に近づき今度は切り札エレキハンドを起動し菊池の頭を掴みあげ電撃を浴びせる!
「あばびばぱびび」
奇声をあげて菊池は倒れる。今回もなんとか討伐に成功した...
ーー2日後ーー
お昼時僕は葵と2人でご飯を食べていた。
「葵〜唐揚げちょうだい」
「そっちにも入ってるんだからそれで我慢しなさい」
「え〜」
「え〜じゃない!せっかく田畑さんが栄養バランスとか色々考えてお弁当作ってくれてるんだから」
「それはそうだけど...」
「だったら私の唐揚げをあげようか」
「あっなら私は部長の分を補填します。」
「あ」
「む」
葵がちょっと怪訝な顔をする...その目線の先にいたのは科林先輩と菊池さんだった
「あえっとなしなく...んあの時は本当にごめんなさい!正直あんまり覚えてないけど失礼なことしてたのは覚えてるから...」
「いいよいいよ悪いのは菊池さんじゃないもん」
「それでもなしなの感度を薬であげようとしてたのはいただけないな」
「葵は黙っててなんかややこしくなる」
「んな!」
「無様...だね」
「なんだとこのぺったんこ!」
「ふっぺったんこか...実にくだらない煽りを
「ぺったんこだと?今貴様敬愛なる部長のことをぺったんこと言ったか?」
「うん言ったけど?」
「あの...香澄別にいいか
「表出ろ!ぶっ飛ばしてやる!」
「ああいいぜやってやる!」
なんか喧嘩が始まった。どうしよう
「ほら唐揚げ」
「ぶれないっすね先輩」
「まあね、ぶれないこころそれが科学者には大切だから」
「さいですか」
しばらくの沈黙が僕達を2人を包むまあ外野がうるさいけど
「本当にありがとうなしな君」
「え」
「君のおかげで私たちは元に戻れた。これから君が困った時わたしはいつでも力をかそう」
「先輩...」
僕はすごい仲間を手に入れたかもしれない...とてつもない期待感が身体を包む
「その条件と言ってはなんだが」
「え?」
「ASEを舐めさせてくれ」
「はい?」
そういうと先輩は急に僕を抑え込む
「待って待って待って」
「待てないね...捕まってる時も君の汗の匂いで狂ってしまいそうだった、ここらで舐めておかなければ」
「どういうこと?」
「うぉぉおおおお!ASE!!」
「待って待ってほんとに待っうわああああああああああ」
午後の授業...僕はねっとりした感覚がずっと取れなかった...
次回予告!
クワトロハンド最後の機能グラビティハンドについて真剣に悩むなしな、そんななしなの前に1人の後輩が現れる彼は男なのにえっちで可愛くて流行りのファッションにも敏感で...あれ?それって男の娘では?男の娘にしか使えないクワトロハンドの所有者をなしなも押し付ける最大のチャンスでは?もしかして主役交代の危機!?
次回 「資格!?もう1人の男の娘」
お楽しみに〜
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