ガイコツ高校生の恋
差掛篤
第1話
しげるという黒魔術に傾倒する男子高校生がいた。
熱心に勉強していたが、気の毒なことに彼は心臓発作を起こし死んでしまった。
彼に黒魔術を教えていた老人は悲しんだ。
この老人、周りからは変な趣味に凝る老人と思われていたが、実際に魔術を使える魔術師であった。
老人は墓を暴いた。
彼にとってしげるは唯一の友人であり、生き甲斐でもあった。
老人はしげるの魂を呼び出し聞いた。
「しげるくん。わしは君が死んでしまっては生き甲斐を失う。もし、君が望むなら蘇生の術を使って蘇らせるが、どうだろうか」
しげるの霊魂はいった。
「僕もこのように若くして天に召されるのは不本意でした。黒魔術の研究もまだやりたいし、何より僕は恋愛をしたことがない。一度人を好きになって恋い焦がれて見たかったのです。お願いします、僕を蘇らせてください」
老人が奇妙な魔法陣を書き、怪しげな薬を振りまくと…しげるは蘇った。
だが、すでに荼毘に付されていたしげるは、骨格標本のように、骨だけの姿で蘇ったのだ。
「これじゃ、恋愛なんてできない!」
ガイコツ姿のしげるは悲鳴を上げた。
老人は頭を抱えた。
「すまない。まさかこんな事になるとは。術は間違えていない。肉体は戻らなかったのだ。どうする?また天に召されるか?今の君の姿では皆を怯えさせるだろう」
「やっぱり…いいですよ。これで」しげるは言った。「僕は外見にはこだわりません。外見だけで人を判断するなんてよろしくない。僕は誠意を持って人と接し、理解を得ます。ですからご心配なく」
そうして、ガイコツしげるの生活は始まった。
しげるには親がいない。
説得する親は不要だったが、学校は凄まじい騒ぎとなった。
詰め襟学生服を着たガイコツのインパクトは凄まじかった。
男子生徒は悲鳴を上げ、女子生徒は軒並み失神した。
先生や教育委員会もガイコツの登校には難色を示した。
それでもしげるは、根気強く誠心誠意説明した。
元々の人柄もあってか、しげるは特例で高校へ通えるようになった。
また特殊な国家機関が介入し、徹底した情報統制がされてマスコミにはバレなかった。
次第に皆もガイコツのクラスメートに慣れていき、高校生活に平穏が戻った頃だった。
しげるは悩み始めた。
なぜなら、女子生徒は気味悪がるか、面白がって話はしてくれるものの、とても恋愛ができるほど仲良くなることはなかったのだ。
残念ながら、誰もガイコツ学生服のしげるに異性としての関心を寄せなかったのだ。
そして、どういう訳か、しげる自身も女子生徒に一向に興味が湧かなかった。死ぬ前はこんな事なかったのに。
キレイな子には見惚れていたものだ。
だがこのままでは、しげるは恋愛できない。
しげるは学校の屋上でため息をついていた。
僕は骨だけの男となり、人を愛する魂を失ってしまったのか…と。
ふと、しげるが別の校舎を見る。
すると、ある教室の窓に、目もくらむほど魅力的な異性を見つけた。
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