第18話 繋ぐ者
鑑定を受けるべくクリスティナの元へ向かうとワンドは顔パスで領主邸へ入るや「クリスティナはいるか!」と声を張り上げる。
その声を聞きつけて「何事だ!?」と一番に駆け付けたのは領主のクリスティナ本人とケインだった。
そのまま客室に通されるとワンドがおおよその事情を説明する。
クリスティナは信じられない様子ではあったが、ワンドが言うのであればと鑑定を使用する事に同意した。
「ケインは2人の後見人になっているそうだな。鑑定を使用するこの場に同席しても構わないだろうか」
この世界で人へ鑑定を使用すれば鑑定対象の全て、実力はもちろんだが切り札さえ露呈することになる。
最悪の場合悪用されたりもしかねないのだろう、鑑定を使用する前にクリスティナは全と武仁に断りを入れた。
「ケインは知り合って間もないがダチみてぇに思ってるんだぜ。俺はケインを信用してんだ、構わねぇよ」
と武仁が返すとケインはどことなく嬉しそうにしていた。
「では2人を鑑定する」
そう言うと全は、ちょっと待ってくれ、と話を遮る。
「ログインボーナスを貰っていない。すぐ終わるからその後にしてくれ」
ワンド、クリスティナ、ケインは聞きなれない言葉に理解が出来ない様ではあったが「わかった」とクリスティナが答えるとすぐに全はステータスオープンを唱えるとともにリンを顕現させた。
この世界で過ごす間の協力者として全はケイン、そしてクリスティナとワンドを信頼しようと思ったのだ。
信頼関係の構築にはまずこちらに嘘偽りがあってはならない、そう考えあえて顕現させたのだ。
それを見て武仁も全の心中を察したのかステータスオープンとともにズチを顕現させる。
『5日目のログインボーナス〜。全様の本日のログインボーナスはスキル賢者の恩恵です〜。......あら、こちらの方々は......私は全様の案内役(ナビゲーター)、水神の使いリンと申します〜。今後ともよろしくお願いします〜♪』
『武仁殿! 本日のログインボーナスは勇者の恩恵ですぞ! ......ほう、貴殿らが此度の
神の使いと言う目の前にふわりと浮く存在にクリスティナ達は何が何だか質問しようとしても不可解な点が多すぎて言葉も出ない。
「はい、もう大丈夫です。クリスティナさん、鑑定をお願いします」
そう全が言うとクリスティナは頷き鑑定を全と武仁に使用した。
智成 全(ともなり ぜん)
種族/人間 年齢/26
職業(ジョブ)/賢者 レベル/118
称号/六神の加護(獲得経験値6倍.レベリング必要経験値100固定)
HP/1180
MP/11800
腕力/1180
腕力抵抗/1180
魔力/11800
魔力抵抗/EX
知性/11800
感知/1180
俊敏/1180
運/EX
スキル
・六属性魔法
火、水、風、土、光、闇の初級〜特級魔法を使用可能
・鑑定
目視したあらゆる対象の情報を看破する
・収納
収納対象の時間を停止し無制限に収納できる
・全知全能
素材さえあればあらゆるものを錬成できる
・複製
あらゆる物を複製可能
・賢者の恩恵
認めし者の成長を促進させる。
装備
・賢者のローブ
賢者のみ装備装備可、物理攻撃をはね返す
勇 武仁(いさむ たけひと)
種族/人間 年齢/17
職業(ジョブ)/勇者 レベル/1685
称号/六神の加護(獲得経験値6倍.レベリング必要経験値100固定)
HP/168500
MP/16850
腕力/168500
腕力抵抗/EX
魔力/16850
魔力抵抗/16850
知性/16850
感知/168500
俊敏/16850
運/EX
スキル
・必中
必ず狙ったところへ命中する
・第六感
半径3km圏内の対象を正確に感知できる
・収納
収納対象の時間を停止し無制限に収納できる
・一網打尽
感知した任意の対象、または目視した任意の対象を攻撃できる、対象設定数は無制限
・強者の特権
打ち負かした魔物を任意で使役できる
・勇者の恩恵
認めし者の成長を増幅させる。
装備
・勇者の剣
勇者のみ装備可、魔法すら切れる剣(バット)
「こ......これは......凄まじいステータス値だ......加えてどれも化け物のようなスキル......武仁に至ってはレベルが見たこともない数値になっている......しかし、聖人の器ではないのか!?......賢者と勇者......」
クリスティナは驚愕しながらも「開示」と唱え鑑定結果はその場にいる全員が見えるようになった。
ワンドもケインも開示されたステータスウィンドウを見て驚くばかりで言葉も出ない。
しかし流石は領主、クリスティナは混乱しながらも顕現しているリンとズチに跪くと直に問いかけた。
「これは、どう言うことでしょうか......代々聖人の器には神の加護が与えられる。それは継承通りですが......聖人の器ではく初めて見る賢者と勇者と言う職業......それに六神の加護とは......神の使いであるリン様、ズチ様、お教え下さい」
『
続けたズチが鼻高々に話す。
『つまり! 武仁殿と全殿は最強なのですぞ! がはははは! お2人が桁外れのレベルなのも六神様の加護により経験値の分母が変化しない極めてレベチなチートが施されておるからですぞお!』
声高々にレベチやチートと言う単語を用いて言うズチに「それどこで知ったの?」と全が小声でツッコむと『以前全殿に教えて貰いましたぞ!』とズチは胸を張って答えた。
マグマ山での道中にそんな話をしたのかもしれない、と振り返りながら、神の使いの威厳を落とした気がしてひっそりと後悔した全だった。
「......不測の事態が起こった、いや、起こっている......と言う事か......」
ワンドが言うとクリスティナとケインも頷く。
「しかし、聖人の器が別に召喚されているのであれば全と武仁はなぜこんなに強く召喚される必要があるんだろう?」
ケインがふと疑問を口にする。
『......それは......創生に纏わる部分が含まれているため神々の大樹に触れないうちに口外することは理に反するのです〜。その問いに今は答える事ができません〜......』
しばらく黙って聞いていた武仁が口を開く。
「まぁよ、そう言う事なんだわ! とりあえず俺らは聖人の器っつーのではねぇけどよ、お前らの敵でもねぇ、むしろケインはダチだと思ってる。それに種の浄化は俺らにも出来るし問題ねぇだろ」
武仁が言うとクリスティナはフッと笑うと力強く声を出した。
「そうだな! 君達は私達を信頼してくれた、今度はケインのように私も君達を信頼させねばなるまい! 改めて、私はこのカルカーンの領主、そしてカルカーン騎士団団長クリスティナ・フォン・カルランド伯爵だ。厄災は近い、私はこのカルカーンを、そしてこの国を、世界を......守らなくてはならない。それには君達の力は不可欠だ。君達に比べれば私の力など無いも等しいのだろうが......私はこの名にかけて! 全力で君達の力になろう! ともに立ち向かってくれないか......どうかよろしく頼む!」
クリスティナが頭を下げるとそれを見たワンド、ケインも頭を下げた。
「頭を上げて下さい。僕と武仁ははじめからそのつもりです。まだこの世界に来て5日ですが、はじめて会ったケインは直感スキルがあったとしてもどう見ても怪しい僕らを優しくサポートしてくれました。ワンドさんもマムさんも宿屋の方、食堂の方、そしてクリスティナさんも。確かに僕らは異世界の人間ですが今は同じ土を踏んでいます、それにカルカーンの穏やかな雰囲気が僕らは好きです! 一緒に厄災を退けましょう!」
全がそう言うとズチは感動したのか漢泣きし、それをシラーっとした目で見るリン。
武仁はリンとズチを見て「それで神の使いかよ」とゲラゲラと笑った。
武仁の笑いでどこか張り詰めていた空気は一気に緩みみんな一斉に笑い合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます