完璧な双子

まぁ いいさ

読切作品

黒フィブリルと白フィブリルは双子です

黒フィブリルには両手がない

白フィブリルには両足がない

それでも二人はシアワセだった

何しろ二人はいつでも二人

ありのままに生きているから


ある日、黒フィブリルが言いました

「ねぇ、白フィブリル。 僕たちが背中合わせにくっついたら足りないモノが揃うから、僕たちは今よりずっと完璧でシアワセになれるんじゃないかなぁ」

白フィブリルが答えます

「わぁ そうだね。それはとてもいい考えだよ」

早速二人はくっつきました

強力なくっつけ剤を背中じゅうに塗りたくり、貝のようにピッタリと

黒フィブリルには両手が出来た

「これで何でも掴めるぞ」

白フィブリルには両足が出来た

「これでどこでも自由に行ける」

「僕たちは完璧だ」

バンザイ バンザイ バンザイ


「でも……」

白フィブリルが言いました

「なんだい?」

黒フィブリルが聞き返します

「完璧になるには、頭が一つ多いよね」

背中合わせに貼り付いた、互いの顔は見えません



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