少年の絵
いぶき
プロローグ
「お母さん、息子さんには絵の才能があります。」
絵画教室の先生が告げた。この先生は界隈で名の知らぬ者はいない。世界で活躍している画家たちを何人も育て上げており、自身も以前は数々の賞をとったカリスマだ。そんなすごい先生に才能があると言われた。今、僕の目は人類最高記録を更新するぐらい見開いているだろう。
僕の名前は、
「えっ。ほ、本当ですか? 私も夫も絵なんて上手くないですけれど。親族に得意な人もいないのに。」
「ええ、私も正直驚いています。ですが、彼は絵を描くのに必要なものを持っています。まだ原石ですけれど、いずれは世界を虜にできるような画家になれますよ。」
「失礼ですが、勧誘のために話を盛っているわけではないですよね?」
「とんでもない。ほんとに絵翔さんには才能がある。ぜひ、うちで指導させてください。」
母さんはずっと信じられないような顔をしていた。多分、僕以上に。伶桜に半ば強制的に連れてこられた絵画教室で、こんなこと言われるなんて。現実味が一滴も感じられない。
「わかりました。息子をよろしくお願いします。」
8年前、僕は超カリスマ画家にその才能を買われ絵の道に入った。
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