みどりご ゆりかご
ももちよろづ
みどりご ゆりかご
「わぁ、海だぁ……!」
「来て、良かったですね」
8月半ば。
俺と
「お父さん!お母さん!」
夏休みだからだろう、子供連れの家族の姿が目に付く。
仕事は、産科医をしている。
保育士の俺とは、友達の紹介で知り合って、付き合い始めた。
付き合って数ヶ月
それから、同棲を始めて、もう、半年になる。
しっかり者の彼は、頼りない俺を、いつも支えてくれている。
時には、
「ほら、ほら」
俺は、海が嬉しくて、素足を、浅瀬に
「
お盆は、水難事故が多いから」
「そうなの?」
「海に、足を引っ張られて、
それは、ちょっと怖いな……。
仲
奥さんのお腹は、大きく
波打ち際に、半透明のゼリー状の丸い物が、
「何、これ?」
俺は、その中の一つを、
「
不用意に
「マジで? 危ねっ!」
思わず、沖へ放り投げた。
ミーン、ミン、ミン、ミン、ミーン……
オーシー、ツクツクツク、オーシー……
夏、だなぁ。
日が暮れると、淡い光が、そこら中を、飛び交った。
「あっ、蛍だ!」
「わぁ……!」
俺達は、
夜の浜辺で、線香花火に、火を
パチッ、パチッ……
「ふふっ、綺麗……」
こよりから、チカチカと、火花が散る。
俺は、うっとりと、光を見詰めた。
「あっ……」
花火の先端は、丸く膨らんで、
夜の
風呂に入り、汗を流すと、
宿の夕食は、温泉卵に、子持ちししゃも。
『
時節柄、テレビから、玉音放送が聞こえる。
ドォン……
パァン……!
花火大会が、始まった。
窓辺に二人、並んで座る。
「綺麗、だね……」
「はい」
ドォン……
パァン……!
夜空に咲く大輪は、
光っては、消え。
光っては、消え。
俺と彼は、じっと見詰め合うと、
どちらからとも無く、
俺も彼も、何も言わなかったけれど、
それが、自然な事であるかの様に、
お互いを求め合い、まぐわった。
彼の律動が、速くなる。
「おぎゃあ、おぎゃあ」
遠くに、赤ん坊の泣き声が聞こえる。
あれは、母親を呼んでいるのか。
俺は、腹の上に、
彼の熱が、俺の中に注がれる。
彼が、俺の中で、ビクン、と
俺は、白く汚れた、自らの腹を
「おぎゃあ、おぎゃあ」
あの声は。
母親を。
「うっ……うぅっ……!」
「淡島さん……?」
俺は、自分の平たい腹を
彼は、何も
そんな俺を、優しく抱き
彼の放った精が、
俺の内股を、
つぅ、と、伝い落ちた。
みどりご ゆりかご ももちよろづ @momo24rose
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