わだつみの子
@nagi7412
第1話
「…ハァ…ハァ…」
肩が出血している男は大きめのカプセルを抱えながら走っていた
「あそこにいるぞ!追え!」
「クソッ!」
男は目の前にある川に飛び込んだ
「川に飛び込んだぞ!撃…」
「待て!アレに当たれば俺たちもヤバい!この川の先に回るぞ!」
「ハッ!」
軍人たちの足音が遠ざかっていく
「…プハッ!…ハァ…ハァ…ようやく撒けた…」
だがこれからどこに行けばいいのか…
下層に続く門は厳重に警備されて通れないし匿ってもらい場所もない
(…そうだ)
たしか罪人の尋問中にこの先の途中にある排水口に確か最下層に続く下水道があるって言っていたな…
あの時は偶然その話を聞いていたのは俺だけ
最初は与太話だと笑っていたがもし本当なら…
(最下層…)
そこは上の層で重罪を犯した罪人が落とされる場所
だからか窃盗・誘拐・殺人が毎日起きてる地獄のような場所と聞いたが大丈夫なんだろうか?
…だがもう迷ってる余裕は無い
俺は抱えていた赤ん坊を抱いて地下下水へと向かった
そして歩き出してから数十分…
途中人が入れる排水口を見つけ奥に向かうと強大な大穴を見つけた
下をのぞくと真っ暗で何も見えず汚水が流れていく音だけが
響いていた
(…本当に最下層に繋がっているのか?)
俺は抱いている赤ん坊を見た。
赤ん坊は勝手か知らずか何事もなく眠っている
連れだし逃走してるときも寝ていたがこのカプセルの効果なんだろうか…?
そしてこの大穴…本当に最下層に続いているんだろうか…
「…クソッこうなりゃヤケだ!」
俺は赤ん坊が入っているカプセルを強く抱いて大穴へと飛び込んだ。
・
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「…よしっ今日はこんなもんかな」
俺は汚れた袋を肩にかけた
今日は珍しく高く売れそうなものを拾えたこれだけあれば数日は食うに困らない
いつもはここを縄張りにしているギャングたちが見張っているけど今日は珍しくだれもいなかったからこれだけの鉄くずが取れた
なんでここにゴミが集まっているのかって言うとこの汚水の先にある大きな穴から数週間おきにゴミが大量に流れつく
ここは強大な塔の最下層
ここにいるのは上で大罪を犯した罪人か親に捨てられた孤児たちが大勢いる
そのせいかここはギャングやマフィアが人身売買目的で攫ったりしてるらしい
俺は運よく孤児院で生まれ育ったおかげで攫われることはなかった
「さて、換金して早く帰らないとな…」
ゴミは昨日来たし次は来週か…その間はその時考えるか
そして去ろうとすると…
「…テ」
急にどこからか声がしたような気がした
だけど何処からだろう?
周りには人の気配はない
聞こえた方角を向くと大穴に続く川の先から聞こえた
「…」
どうしよう…行ってみたいけどあの辺りは…
この先にある大穴の辺りはギャングが常に見張っている
見つかれば確実に殺される
声が気になるけど殺されるリスクを負ってまでいこうとは思わなかった。
「…」
…たぶん気のせいだろう。昨日あまり寝てなかったしそれが原因かも
俺はそう思うようにして換金所へと向かった
そして夜
俺はベットで寝ていた。
今日は今までで一番儲けてウハウハだった
今までは寂しい食料やボロボロな子供
周りの子供はみんな寝ていたけど俺は眠れなかった
夕方に聞いたあの声が頭から離れない
テしか聞こえなかったけど一体何て言ってたんだろう?
「…明日行ってみようかな」
明日は上の階層に続く大きな扉が開く日で食糧や日用品を売ってくれる
元々処分するものばかりだからか価格もかなり安い
その時は機関の人達が警備をしているおかげでギャングやマフィアが襲撃する事は無い
よし…機関の人に頼んで一緒に来てもらうよう頼んでみよう
…ってそんな事出来ないか
園長が言うには機関の人達はこの階層を完全に見下している
ヘルメットみたいなもの被ってるから顔は分からないけど俺も雰囲気でなんとなく分かった
だから俺たちも買いたいもの買ってそそくさと帰っていた
…じゃあどうしようか…うーん…
俺は悩みに悩んでいくうちに眠りについた
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