銀髪吸血鬼のシリカさんは好きな人に告白をされたい。欲を言えば手を繋いでキスをしたい
翠川おちゃ
第1話 濡れてるヴァンパイア拾っちゃった
「どうしたんですか? 傘も刺さずに」
いつも通り学校から家に帰る帰路に着いて歩いて居た
こう言う場面では、関わって行けないとネット記事で目にした事が有るが、翔には、その少女をそのままにしていく事は出来なかった。
「何かあったの?」
再び問い掛けると少女は、十秒程経った後ここまで至ったかの経緯を話し始めた。
だが突然話し掛けられた少女は、少し疑問と動揺が混じった眼差しを向けていた。
まあ十中八九当然だろう。突然見知らぬ男に話しかけられたのだから。
「前住んでいた家を追い出されてしまって……」
少女は俯きながら涙混じりの掠かすれた声で言った。
そんな少女の微かな声は、今にも雨の音と共に消し去りそうな程に小さく儚かった。
「そうなんだ……前の家で何かあったの?」
問い掛けると少女は、フードを深々と被り顔を隠した。
「……」
「……言いたくないなら言わなくて大丈夫だよ。誰にでも言いたくない事は、あるから」
「……あ、有難うございます」
(それにしてもこの子どうしよう……ここに置き去りにしていくのも胸が痛むし、かと言って住む家が無いから気軽にどっかに泊まってとも言えないて)
翔は、自分の脳を
土砂降りの雨の中少女が、一人濡れた体で誰かの家を尋ねたら除け者扱いされるに違いない。別の手段でホテルに泊まるのも有るが、そこで厄介な事に巻き込まれたら本末転倒だ。
翔が酷使した脳で考え抜いて、出た答えは――
「俺の家来る?」
「えっ……?」
少女は、翔が出した提案に目を丸くし呆気に取られた反応を見せた。
「どうした?」
「その、私は助かりますが、あなたの家族さん達は大丈夫なんですか……?」
「ああ、大丈夫だよ。俺一人暮らしだし」
事情事情が有り翔は、高校生で一人暮らしをしている。別に家族と不仲と言う訳では、無い。ただ通ってる高校が地元からかなり距離がある為、家族との提案で一人暮らしをしている。
「そうですか……」
「うん。とりあえず、傘に入りな?」
「そ、それじゃ……あなた濡れてしまいますよ……」
「それくらい気にしないよ。良いから入りな」
少女は、遠慮しがちに「助かります……」とぼそっと小さく言い翔の肩に近寄り傘に入った。
隣にちょこんと入った事を確認し、少女にバレない様に自分の体を少し傘から出し翔は、少女がなるべく濡れないよう配慮した。
自宅マンションの扉の前のまで、着き家の鍵を開けてシリカに手招きをして家の中にあげる。
自宅に帰る道中に彼女に名前を聞いた所彼女は『
「お、お邪魔します……」
「どうぞ、お風呂は右のドアだよ。ゆっくり温まって来な」
「は、はい。ありがとうございます……」
雨で打たれて体を冷やしたシリカをお風呂に入れ、自分のサイズの小さくなった服を棚から選び、洗面所に置いた。
「ここに替えの服置いとくね〜」
「わ、分かりました」
シリカの返事を聞いて翔は、洗面所から出た。出る時に少し聞こえたがシリカは、お風呂で鼻歌を歌っていた。その鼻歌は、何処と無く楽しそうに聞こえた。
少し経ってから洗面所の方から大きい音が聞こえたので、翔は、すぐさま洗面所に向かった。
「どうした! 何かあったか!?」
物が倒れたのかと心配して、洗面所に向かうとそこには、尻もちを着いて涙目になっているシリカが居た。
「大丈夫かシリカ? ってそれ……牙なのか?」
尻もちを付いたシリカを見ると口から尖った牙が出ていた。
シリカの表情を見ると、素肌を見られた羞恥と牙を見られ事の出来事で涙目になっていた。
「追い出さないで下さい……家事でも料理でもします……だからここに住まわせて下さい……ご主人様の言う通りにしますので……」
突然のシリカからの必死な弁解に翔の脳は、困惑していた。何故急にシリカが涙を流しながら弁解をしているのか。今の出来事に弁解を要する必要は、何処にも無い。なのに何故シリカは、血相を変えてここまで弁解をしてくるのか。
こんな時なんて声を掛けて良いか分からない翔は、シリカに何故突然、弁解をしているのかを聞いた。
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