[17] 就職

 呪いをかけるお仕事について。


 私の場合は血筋でないです。両親は全然関係ない仕事をしています。

 街を歩いていたところをスカウトされたわけでもありません。なんら劇的な経緯はないのです。


 合同就職説明会で見つけました。


 当時私は内定が全然決まらなくて焦ってました。

 そんな時にそこに人気のないブースがひっそりあってなんとなく足を運んでました。


 別にそうやって資質のある人を見抜いているとかいうことでもないです。

 簡単に言えばただの偶然です。


 その時説明に来てた人が親切にしてくれてそれきっかけで業界に入ることにしました。

 ちなみにその人が今の上司だったりします。頼りになる人です。


 たまに現場で会うのですがやっぱり血筋の人はすごいです。

 仕事が早くて正確でなにより私の10分の1ぐらいしか労力をかけてません。技術が全然違います。


 その違いは才能というより努力の量に由来しているものだと私は考えています。

 話を聞けば幼いころから厳しい修行をされているようです。住んでる世界からして違うのです。


 まあ私程度の一般人でもなんとかかんとかやっていけるので問題ありません。


 依頼は10件のうち9件が紹介で、残り1件がサイト経由だそうです。

 うちの会社はきちんとサイトを作っているのです。

 大々的に宣伝すると神秘性が薄れるのでそこまではやっていないという話ですが。


 本当に必要としている人が真剣に探そうとすれば見つかるようにはなっている、とのことなので、本気で依頼を検討している方は是非探してみてください。

 依頼料は格安とはいきませんが、あなたが思っているよりは高くないはずです。


 最後に。

 呪いの存在を知ってそれなら自分でやってみようと思った方へ。

 絶対にやめてください。

 危険です。


 私たちプロは長年の積み重ねの末にしっかりとした防御体制を築いています。

 こちらの指示に従っている限りお客様に害が及ぶことはありえません。

 半端な知識に基づく呪いの使用が行きつく先は破滅しかないです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る