[10] 書籍

 図書館で本を借りて読むのはおすすめしません。

 なぜなら多数の人の手を経ている可能性が高いからです。過剰な情念が染みついているおそれがあります。

 それは量の問題ではなく確率の問題です。一定の量を超えると必ず何かが発生するというわけではなく、量が大きくなればなるほど発生確率が上がるということです。

 私たちは常に確率にさらされながら生きています。

 ただし非常に低い確率については無視しています。それらをすべて気にしていては生活できないからです。精神がそういうふうにできているのです。

 特に怪談話は図書館で借りてはいけません。

 古いものであればほとんどの場合、いびつな思念がこびりついています。その影響が絶対に発生するかというとそんなこともなく、結局それは受けとる側次第です。

 古本についても同様のことが言えます。触れた時点でなにか感じるものがあるならばやめておいた方が無難です。そういう意味で直接に家に送り届けられる通販は極めて危険です。

 動物だって植物だって情念を発散しています。けれども人間がもっとも受信しやすいのはやはり人間の情念なのです。とにかく他者の手に触れたものに注意しましょう。

 あるいはこれは霊的な形をとった潔癖症の一形式なのかもしれません。

 私が敏感すぎるのか、それともあなたがたが鈍感すぎるのか、どちらが正しいのか私には判断できません。もしかするとその中間あたりがちょうどいいということもあるでしょう。

 とにかくそういうわけだから私は電子書籍派です。

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