ふたりの妻と20人の彼女たち
Under the Delfinus
はじめに
自分の人生なんて自分だけのものだ。
だから誰かと共有しようだなんて思ってもいなかった。
4人の子供たちに託す思いとは別に、自分が生きた証を残せればそれでいい。
写真や動画がデータとして残せても、記憶だけは今の技術では残せない。
だから僕は執筆という形で記憶を残すことに決めた。
いつか年老いた自分が、今度は読者になるだろうその日に向けて。
僕には2人の妻がいた。
少し気が強くて料理の上手い黒谷友香に似た美人な妻。
元No.1のキャバ嬢だけどまじめなギャル系の南明奈に似たかわいい妻。
人生を紡ぐ20人の彼女。
僕が現在、何歳なのか興味があるだろうか。
たぶんどうでもいい。
男なんて死ぬまで恋愛を続けるどうしようもない、愛に飢えたいきものだから。
僕の人生に共感する人なんているんだろうか。
それでも僕は人生を繋いできた。
地元のコーヒーロースターで買ったブレンドのドリップバッグの封を開け、
studioMのマグカップに入れて、熱い湯を注ぐ。
メープルの香りが甘いクッキーを2枚、マグカップと揃いのビリジアンの小皿に並べたら始めようか。
ほぼ文字だけが並ぶ白いモニター画面の奥にある磨りガラスには
冬の日差しが差し込んでいてキラキラと光っている。
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