作業
無駄に広いグラウンドには人っ子一人いなかった。
地面が凍結していない所を見ると、今日もきちんと整備はされているらしい。
グラウンド整備が用務員の仕事ではあるが、せっかく整備したのにも関わらず、そこを使う生徒はほとんどいない。まあ俺としてはグラウンド全体を使う気は全くないのだが。
俺はゴールポストの前にカラーコーンを並べ、ドリブルを始める。この赤い三角形のプラスチックを、行く手を阻む敵と見立てて避けていく。ボールを敵に当てないように、いかに上手くかつ素早く蹴れるのかがポイントだ。最後の敵を避け、ゴールポストにシュートを決める。この練習を何回か繰り返す。
何のことはない、実に簡単な「作業」であった。
動かない敵を上手く避けてシュートを撃つだけ。
相手を抜き去る際のフェイントは必要ない。ゴールを阻むキーパーもいない。そしてパスを出す仲間さえもいない。
たった一人、グラウンドの片隅で、黙々とボールを蹴り続ける。
それが、俺の日課である。
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