第75話 元賢妃side 

 ゴホゴホッ。


 なにかしら?

 咳が酷くなる一方だわ。

 

 どうしてこんなことに……。

 何故、私がこんな汚い場所冷宮に住まないといけないの?

 色黒の少年に罪人だと言われたわ。

 罪を犯したのは私じゃない!乳母よ!私は何も悪い事なんてしていないわ!なのに……。


『乳母の罪は貴女の罪でもある』


 そう言って私をこんな場所冷宮に押し込められたのよ。

 何故、乳母の罪が私の罪になるの?そんなのおかしいわ!家から連れてきた侍女達もいつの間にかいなくなっているし……。もう、訳が分からない。

 一度ここから抜け出そうとしたところを見つかってからは、扉の外に監視がつくようになってしまったわ。どうして私がこんなひどい目にあわないといけないの?全然わからないわ。それに、最近は寒気がして身体も思うように動かないし……ずっと微熱も続いているのよ。まるで自分の身体じゃ無いみたいで怖いわ。一体どうしたのかしら?




 

 

 ゴホゴホゴホッ。


 体がだるくて仕方がない。

 今日も一日床から離れられないでいるわ。

 私は何時までこんな場所に居なければならないの?

 お父様たちは一体何をしているの?早く私をここから出して!兄や弟たちは何をしているのよ!こんな時こそ私の役に立つばんでしょう!早く元の宮殿に戻してちょうだい!


 ああ……喉が焼き付くように痛い。



 ゴホゴホッ……ゲホッ。


 燃えるような痛みによって吐血してしまった。口から零れた鮮血を見てさらに頭がクラクラする。あれからどれだけ経ったの?どうして誰も助けにこないの?


 ゴホゴホッ……。


 ああ……意識までぼんやりしてきたわ。

 もう目を開けているのも辛い。

 眠いわ……。



 このまま永遠に目覚めなければ良いのに…………。

 


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