冬の街灯
オオカミ
冬の街灯
夏の夜には様々な虫達が集まる街灯。
稀にカブトムシやクワガタ等が集まり、少年少女の心を熱くさせ、夜に親と採取に行った人も少なくないだろう。
そんな季節的な気温や心の熱等で暑さを感じる夏だが一変、冬には街灯の頭には雪が積もり、雪が降り積もる様子が目に見える光景が照らされるだけの寂しい場所になる。
そんな寂しさのある街灯の下で、見知らぬ女性2人が出会った。出会いは簡単。ただ片方の女性が街灯下で転んだのだ。
たまたま通りかかった背はあまり高くないもう1人の女性は、自分の荷物をその場に置き、すぐに転んだ女性の元へと駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「少し腰を打ったくらいで、少し休めば大丈夫だと思います。すみません、ありがとうございます!」
と少し痛そうな顔をしていたが、笑顔で返事をしていた。その笑顔は街灯に照らされ、より元気そうな顔に見えた。
「立てそうですか?」
「あぁ…手、貸してもらっても大丈夫ですかね?」
そう言われ手を貸すと、2人で支え合いゆっくりと立ち上がった。
「お姉さんありがとうございました!」
「いえいえ、たまたま通りかかっただけなので気にしないでください。」
「お姉さんいなかったら私しばらくここに居ることになりましたよ!本当にありがとうございます!あ!」
そういい手渡されたのは電話番号の書いた紙だった。
「今度時間ある時お礼したいので連絡して貰えたら嬉しいです!」
と下目使いをされては断れるわけもなく、受け取り了承してしまった。
「ではありがとうございました〜」
そういいパタパタと冬道に適さない歩き方で去っていった。
私は1人街灯の下に残され上を見上げると、雪はまだしんしんと降り積もっていた。
街灯の頭に積もっていた雪が滑り、小さな音を立て地面の雪と合わさり小さな山が出来た。
冬の街灯 オオカミ @DendokuTOKAGE
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