隙のない完璧美少女が幼馴染の俺にだけ甘えてくるので、めちゃくちゃ甘やかしてみたら俺がどうにかなりそうになった
みずがめ@エロ漫画転生4/1発売!
前編
中学の同級生に
彼女は学校で完璧と言われている少女だ。
試験の順位は常に五位以内に入っているし、体育祭などでは見惚れてしまうほどの運動能力を発揮していた。所属しているバレー部ではエース級の実力であり、彼女の出来次第では全国を狙えると言われている。
銀髪のハーフ美少女で、透き通るような白い肌と澄んだ青い瞳が彼女の存在感をさらに際立たせる。外見でさえも特別で、完璧だと表しているようだった。
存在そのものが聖域のように扱われている。そう思えるほどに、彼女に軽々しく距離を縮めようとする人はいなかった。
「ねえ
「どうしたんだ瞳子?」
軽々しく名前を呼び合う。みんなが近寄りがたいと思っていようが、俺にとって瞳子は幼馴染なのでこの距離感が普通なのだ。
みんなが瞳子を「特別」だの「完璧」だの言っているけれど、昔から付き合いがあるから、彼女が完璧ではないと知っていた。
「あたしって……近寄りがたい雰囲気があるのかしら?」
みんなの前では隙のない凛とした表情なのに、俺と二人きりの時は眉根を寄せて弱気な態度だって見せる。
完璧だと評判の美少女は、周りの反応を気にする程度には繊細なのだ。
「男子はあれだよ。瞳子があまりにも可愛いから照れてるんだよ。思春期男子の初心さを許してやってくれ」
「か、かわっ……!?」
ぼぼぼっ、と瞳子の顔が赤くなる。元が白いからその変化もわかりやすい。可愛い。
「で、でもっ。男子だけじゃないのよ……」
「女子はあれだ。瞳子に憧れすぎて神々しく見えちゃってるんだよ。綺麗すぎて気後れしちゃってるんだな」
「き、綺麗……」
ぽわぽわー、と瞳子が夢見心地みたいな表情になる。隙のある顔が可愛らしい。
「べ、別にそんな風に言われても嬉しくないんだからねっ」
はっとしたように自分を律した顔になり、ぷいっとそっぽを向いた。わかりやすい反応に危うくにやにやしそうになってしまう。
セリフと仕草だけならツンデレみたいだ。まあ瞳子は知らない単語なので言わないけど。言ったら本当に怒ってしまいそうだし。
「本当に……そんなんじゃないんでしょう?」
そして、また不安げな表情になってしまう。
瞳子が「完璧」と呼ばれながらも自己評価が低いのは、昔のトラウマがあるからだ。
銀髪のハーフ美少女。その容姿は特別であり、みんなとは違った特徴だった。
幼い頃、瞳子はよくからかわれていた。みんなとは見た目が違うというだけで子供の無邪気な攻撃を受けていた。
そのたびに瞳子は反撃していた。完璧と言われる優秀さは、彼女の負けん気から生まれたものだった。
けれど、からかわれて傷つかないはずがない。何か言われる度に真っ向から反論し、その後はどうしてあんなことを言われたのだろうと悩む。そんな日々を過ごしていた。
「大丈夫だよ」
「え? あ、ちょっ……」
瞳子の頭を撫でる。銀髪のサラサラの感触が返ってきた。
イケメンじゃなくても、幼馴染なら許される行為。昔から付き合いがあるだけに、こういうことをしても許されると知っているし、彼女の不安もわかってしまう。
「俺が言ったこと、ちょっとは大げさに言ったかもだけど、大体は本当のことだから。瞳子が嫌われてるわけじゃないから安心しろ」
「……うん。俊成がそう言うなら、信じるわ」
瞳子はこっくりと頷く。素直でよろしい。
元々からかわれてたってのも、好きな子をいじめちゃう的なあれだ。幼い男子は好意の伝え方がわからない不器用な存在なのである。
まあ、いじめられていた本人には関係ない。自分がやってきたことの結果で、好きな子から嫌われて反省する。男はそうやって大きくなっていくものである。
そんな連中とは逆に、俺は瞳子に優しくしてきた。一人でいる彼女を放っておけず、一緒になって遊んできた。気づけば幼馴染認定されていた。
「むしろ瞳子は期待されてるんだよ。この間のバレーの試合での活躍すごかったし。みんな距離感が掴めてないけど、瞳子を応援する気持ちは同じだと思うぞ」
「そっか……うん。そういうことならがんばるわ」
拳を握り、うんと気合いを入れる瞳子。
元気になったかと彼女の頭から手を離すと、がしっと猫のような俊敏さでその手を掴まれた。
もちろんここには俺と瞳子の二人だけしかいないので、俺の手を掴んだのは瞳子だ。
「えっと?」
「も、もう少しだけ……頭……な、撫でてもらえる?」
意図してやってるわけじゃないんだろうが、恥ずかしそうに頬を朱色に染めて上目遣いでそんなことを言われたら、二十四時間年中無休で撫で続けたいと考えてしまうではないかっ!
「ま、まあ? い、いいけど……」
「ありがと……。えへへ」
はにかむ瞳子は、完璧を超えてるんじゃないかってくらい可愛かった。
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