ショートラブコメ集
お酒
俺は英斗。
紅葉の兄であり恋人だ。
そして、俺には最近心配なことが一つある。
それは、二十歳になった紅葉の事だ。
天然で可愛い俺の紅葉がちゃらんぽらんな男どもに酒を飲まされてあんなことやこんなことをされないかと不安だ・・・。
………許さん。(英斗くん心の怒り声)
俺の紅葉を守るのは、この俺しかいない………!
俺が守らずに誰が紅葉をも守るのだ!
俺の紅葉には誰一人として汚い手は触れさせまい!!
ある日の夜。
「紅葉、ワインを買ってきたんだが、一緒に飲まないか?」
「いいよ~♪飲む飲む♪」
「おつまみにチーズや生ハムとかも買ってきているからな。赤ワインとは相性がいいぞ!」
「そうなんだ~。ワイン飲むの初めてだからワクワクする~♪」
まずは紅葉のアルコールの耐性度を測らないとな。
ワインで大体の強さが分かると何かの本で読んだことがあるし。
準備が整い、英斗と紅葉が晩酌を始める。
チクタクチクタク……。(時間経過の音)
「紅葉、大丈夫か……?」
紅葉はそれなりに飲んでいるはずだが、酔った気配がない……。
(このワイン、アルコール度数が17度だったよな・・・?)
紅葉はワインを飲みながら大学の話を楽しそうに話している。
「………でね、お兄ちゃん、千秋ちゃんてばね…………」
いつもの雰囲気で楽しそうに話す紅葉。
紅葉と英斗は飲み続ける。
チクタクチクタク……。(さらに時間経過)
突然、
ぐらぁ~…………。
「あ……れ……?」
英斗の視界が揺れる。
「お兄ちゃん??どうしたの??」
次の瞬間。
……バタッ!!
「お、お兄ちゃん?!大丈夫?!お母さ~ん!!お兄ちゃんが~!!」
おかしいな………。
こんなはずではないのだが………。
俺が酔っぱらってどうするんだ………?
俺が紅葉を守らなければいけないのに………。
俺が紅葉を……。
俺が……。
俺が……。
チーン………………。
後日談。
「え?!紅葉はアルコールに強い?!」
「そうよー。まだ二人が幼い時にチョコレートケーキを焼いて食べてもらった時に英斗が酔っぱらうという事があったのよ。私、びっくりしてケーキを食べてみたらラム酒が入れ過ぎだったのよね。でも、同じものを食べている紅葉は普通に美味しい美味しいって食べてるから、この子はお酒の耐性が強いのねって思ったのよ」
……てことは、襲われる心配はないという事だな。
内心ほっとする英斗。
……という事は紅葉を酔っぱらわせて悪戯することもできないというわけか……。 (こら!お兄ちゃん!*作者の声)
どことなく安心したと同時に、ちょっとつまらないと感じる英斗であった。
ちゃんちゃん♪
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