第23話 2041年


2041年競馬スタート。


昨年の2歳牡馬のサイレンススタートが3歳となり今年のクラシックはこの馬を中心に動くと見られている。


サイレンススタートの脚質は大逃げ。

オーナーの永井は90年代に宝塚記念を制した快速馬のサイレンススズカの大ファンだった。志し半ばにこの世を去ったスズカ産駒にロマンを感じて、

サイレンススズカの近親配合を試し続け、ついにサイレンススズカにも負けないような馬が誕生した。


母ワキアシンデレラの繁殖生活最終年に待望の馬が誕生、その馬こそサイレンススタートなのである。父は現在の日本のリーディングサイヤーのサンデーコミックス。

当歳からその馬格の見事さからオーナーが期待していた。


名前の由来はサイレンススズカの再来の伝説のスタートという意味を込めてサイレンススタートと名付けられた。


サイレンススタートは昨年のG1の連戦が証明するようにタフな競走馬な為、ステップレースを挟まないローテーションは踏まず、弥生賞から皐月賞そしてダービーを目指すことが年明け陣営より発表された。


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そしてそのサイレンススタートと激闘の新馬戦を行ったフラッシュフォワードは年明けにようやく新馬戦以来のレースに出走する。


そして出走するレースは未勝利戦ではなく若駒ステークス。

脅威的な脚を使った同馬はレース後の回復に時間を要した。


ここで未勝利戦を使うとクラシックに出走しても万全のローテーションが組めないという考えから格上挑戦に陣営は踏み切った。

これは未勝利馬でも3歳のクラシックトライアルなら出走できるということからのチャレンジだ。


トライアルの中でも3月に行われ、サイレンススタートも出走予定のG2の弥生賞やスプリングSなどと違い1月開催の若駒ステークスなら4月の皐月賞にも感覚充分で出走できるという考えからだ。


【鷹極TV】

レジェンド鷹極が仲のいいフリーアナウンサーのフジ原と行なっているフジテレビ系列の番組内で同馬の若駒ステークス出走についての鷹極のコメント。


「フラッシュフォワードは強い馬ですが、未勝利馬がオープンレースに参戦するのは僕はあんまり好きではないですね。」


鷹豊はたまに辛口のコメントはあるが、同馬のチャレンジにも酷評だった。

「競馬はそんなに甘くないですよ。」


鷹はそういって話を終わらせた。

確かに競馬はそんなに甘くない、格上挑戦は失敗することの方が往々にして多いのもまた事実。


しかもフラッシュフォワードの新馬戦は大出遅れから小頭数の紛れの少ないレースを直線になって追い込んだだけのレースで、レースを経験したとも言えない内容だったからである。


そんな不安要素はありながらも競馬ファンはフラッシュフォワードを1番人気に支持した。


これは新馬戦で見せた末脚に夢を見た競馬ファンの過剰な人気なのか?その答えはレースが始まってみないと誰にも分からない。


【若駒ステークス 京都9R 2000m OP】

1番人気 フラッシュフォワード 1戦0勝 1.3倍

2番人気 イイゼサタン     4戦2勝 4.8倍

3番人気 ションボリスキー   6戦2勝 6.2倍

4番人気 ミススペイン     5戦2勝 14.1倍

5番人気 ナイスネイチャン   3戦1勝 18.2倍

6番人気 ダンディーハウス   2戦1勝 43.2倍

7番人気 ノーモア       3戦1勝 70.4倍

8番人気 カーヤウルフ     5戦2勝 123.8倍

9番人気 アジサイミツオー  11戦2勝 214.2倍

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