第10話 挑戦権
絶対的大本命のアブソルートが馬なりで上がっていく。
ここでついて行かなきゃ勝ち目はない。
アブソルート以外の全ての馬が彼の動向を監視していたらのか、一斉にレースが動き出す。
逃げていたラビット馬と日本馬2頭がアブソルートについて行けずに下がっていく。
その下がっていった3頭に代わって上がって来た馬達の殆どが、事前に有力とされていた馬たち。
中団にいたシーズンスターズ、セカンドオピニオン、バデイチ、イーストオーバーが続き、シルバーグレイトもその後ろから追走していた。
その輪の中には有力牝馬のザルカバードと日本のダービーでシルバーグレイトと名勝負を演じたヴァンガードはいなかった。
「ヴァンガードニハロンシャンノ2400ハナガカッタノカ…」
血統的にもスピード血統のヴァンガードには難しい距離であった。上がって来れないまでもバテていないところにこの馬の底力を感じる。
「シカシ、ザルカバードガアガッテコレナイノハイガイダッタ」
アブソルートを追う5頭!
奇しくもアブソルートへの挑戦権を賭けたような構図になった。
ジュニアが後方を確認した。
「さあ誰が上がってくる?」
5頭の中で勢いがある2頭がM.アニバーサリー騎乗のシーズンスターズとセカンドオピニオンだ。
「3歳勢とは勝負付けはすんでる!後はセカンドオピニオン、アンタとアブソルートだけだ!お前らに打倒アブソルートはまだ早い!」
セカンドオピニオンにムチが入り、シーズンスターズに1馬身分競り勝つ。
「よし!」
その光景に3歳勢も食らいつく!
「スターズ、お前の力はこんなものか?」
エミネム「バデイチ俺らも行くぞ!」
ギーン「…負けん!」
祐翠「いくよグレイト!」
盛り返す4頭!再びセカンドオピニオンを飲み込んでいく。
そしてその5頭の馬群から2頭の馬が抜け出す。
1頭はシーズンスターズ!
3歳勢代表格としてやはりこの馬が父アブソルートへの挑戦権を得た。
そしてもう1頭は…
小さな島国の新人騎手と一緒に挑戦してきた芦毛の馬!
日本から応援しに来ている観客たちが興奮している。
「シルバーグレイトが上がって来たぁぁぁ!!!」
日本から来た新進気鋭の若武者が世界に挑戦状を叩きつける!
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