第6話 大偉業
はじめに仕掛けたのはヴァンガードに騎乗のD.リラード!
直線残り400メートル!
仕掛けたと同時に即座にトップスピードに入れる反応のよさがこの馬の最大の魅力で、リラードの仕掛けに反応して自馬も続いて仕掛けた鷹騎乗だったのだが、モヒートミントは続くことができず一瞬にして離されてしまう。
「シルバーグレイトは!?」
シルバーグレイトを確認する珍念。
「ナニィ!」
ついてくるシルバーグレイトに驚くリラード。
「ついて行けてる。」
小和田もシルバーグレイトの伸び脚を確認。
ヴァンガードのななめ横、半馬身後ろを追走。
モヒートミントとは既に3馬身以上の着差。
勝負はこの2頭に絞られた。
「でもシルバーグレイトの方が長めに距離を走ってるから厳しそう…」
「アイツは…祐翠はこんなところで負けねぇよ!」
「風切くん…」
画面越しにレースを見守る風切、小和田、珍念。
「ウオォオオオ…」
これまでのレースで全力で追ったことのなかったヴァンガードを全力で追うD.リラード。
それ以上の気迫でシルバーグレイトを追う祐翠。
「グレイトは馬体を合わせて競わせたら負けないよ」
ヴァンガードに馬体を合わせにいく祐翠。
凄まじい勝負根性で喰らい付いていく。
両馬の馬体が合わさり並走。
残り200メートル。
自分の馬の変化に気づいたD.リラード騎手。
「ヴァンガード?」
レース中に初めて苦しそうな表情をしているヴァンガード。
それに比べ、シルバーグレイトはここまでのキャリアは僅か3戦ながら毎回競り合いを際しての勝利と接戦を制してきた。
D.リラード「マケルノカ…コノボクノウマガ…」
両馬がほぼ同時にゴール番を通過!
オオオオオ…!
ドッ!!!
場内歓喜!!!
着差はハナ差ながらどの馬が先にゴールしたかは一目瞭然だった。
レースを制したのは僅か18歳の新人ジョッキー騎乗のシルバーグレイト!
若者らしい豪快なガッツポーズをする福山祐翠、若干18歳。
「やったあああ!!!」
場内も新人騎手の偉業にスタンディングオベーションで答える。
ぱちぱちぱち‥‥
「凄いぞ祐翠ー!」
「おめでとうー!!」
そんな場内の雰囲気と我が子の大偉業に調教師で父親の祐一の目は滲んでいた。
「おめでとう祐翠くん」
祐翠の勝利を素直に喜ぶ同期の珍念や小和田の横で、密かに悔しさを噛み殺している風切春馬の姿がそこにはあった。
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