ウイニングブラッド~近未来競馬物語~
うーた。
第1話 2040年世界の競馬
時は2040年、競馬界は1頭の競走馬を中心に回っていたー。
その馬の名は【アブソルート】
名は体を表すとはよく言ったもので、絶対的な存在として競馬界に君臨(くんりん)していた。
イギリスの生産馬として、地元クラシックを3冠、凱旋門賞、BCターフとG1を5連勝。圧倒的な勝ち方で歴代最強馬との評価を得て、無敗で引退するも種付馬生活で事件が起こる。
アブソルートは父母共に数多くのG1を勝ち、凱旋門賞も制した超が付く良血馬。
その血を後世に残すことが彼に残された大きな使命なのだが、彼は種付けに興味を示さなかった。
4歳春から種牡馬入りしたアブソルートが初年度に付けた繁殖牝馬の数は僅か10頭。
そんな現状からアブソルートのオーナーは異例の現役復帰を発表したのだ!!!!!
世界の競馬界に衝撃が走る。
歴代最強馬が電撃復帰。
そして現役復帰したアブソルートは変わらず無敗街道を続ける!!!
アブソルートは4歳でも凱旋門賞を勝利し連覇を達成!
多くの結果を残した競走馬は4歳には引退を考えるが、種付けに興味のないアブソルートなので、オーナーは5歳でも現役で走らせて前人未到の凱旋門賞3連覇を目指した。
しかし、春に種付けした10頭の子供達が翌年春に産まれると当歳とは思えない完成された馬体に生産者たちがこぞってアブソルートのオーナーに種付け依頼が殺到。
しかしアブソルートは現役を続けることが決まっている競走馬、
この問題は大きな社会的な問題として議論が飛び交った。
アブソルートを引退させて今年こそ種牡馬生活をしっかり始めるべきという意見や、種付けに興味のない馬なのだから現役で走らせるべき、現役馬が種付けをするのはおかしいなどの様々な意見の中、アブソルートルールという特例が競馬界のルールとして決定した。
そのルールは現役馬でも年間に10頭のみ種付けを行うことができるというものだ。
しかしアブソルートも既に5歳の競走馬。
3歳から一線級で走り続けた競走馬ならピークを過ぎて衰えだしてもおかしくない年齢だった。
だが、そんなことは並の競走馬の話、アブソルートには全く当てはまらない話で、その後も同馬は無敗で勝ち続けた。
目標の凱旋門賞3連覇も達成。
しかし凱旋門賞3連覇すら通過点、アブソルートは未だに成長しているのではないかと思えるほどで、走るごとに他馬との着差を伸ばしているのだ。
競走馬として競馬界の歴史上でも類をない競走成績を残し続けている同馬だが、彼の伝説はそれだけにとどまらなかった。
なんとアブソルート7歳の年、4歳時に種付けし5歳で生誕した競走馬たちが次々に走り出した。
10頭の子供全てが勝ち上がるだけにとどまらず、立て続けに重賞制覇というとんでもないことをやってのけた。
そんなアブソルートの子供達の有り得ない結果を見て、各々のオーナーや調教師は、このまま地元で各馬を戦わせても同士討ちになるだけと考えて、数名のオーナーたちが共闘を組みだした。
各馬たちをイギリス国内で走らせず、競馬主要国の各レースに遠征することにした。
フランス、ドイツ、アメリカ、アイルランドなど競馬主要国の2歳の代表レースをアブソルートの子供たちが次々に勝利をかっさらっていったのだ。
そしてそれは日本でも例外ではなかった。
暮れの2歳G1の1つのホープフルステークスを遠征してきたアブソルートの子供に勝たれてしまった。
その馬の名前は【ヴァンガード】偉大な父だけでなくG1を複数勝ち繁殖牝馬としても既に結果を残している名牝。
ホープフルステークスを3馬身差の圧勝で制したヴァンガードの勝ち方から、同馬は翌年も日本で走らせクラシックを目指すことを発表した。
世界の競馬は今、アブソルートとその子供たちに侵略されつつあったーーー。
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