ノゾキアナの恐怖 隣

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 うっかりやらかした。


 住んでいるアパートに、小さな穴があいた。


 僕が家具を移動させているとき、間違ってぶつけてしまったためだ。


 はじめは、「あちゃー」と焦ったけど、冷静になると別の感情が湧いてきた。


 せっかくあるんだからと、ちょっとのぞいてみることにしよう。


 と、好奇心が。


 最初はダメだと我慢していたけど、やっぱり好奇心には勝てなかった。


 小さな穴に目を近づけて、そっとのぞき込む。


 そこには、とても綺麗な美女がいた。


 思わず目を奪われてしまう。


 数秒で終わらせるはずだったのに、美しすぎて目が離せない。


 ちょっと色白すぎるけど、プロのモデルもびっくりするくらいの美貌だ。


 食い入るように見つめていたら、その美女がこっちを見て、にこりと笑った。


 途端に、僕は金縛りにあったように動けなくなった。


 硬直している間に、美女がノゾキアナのほうへ向かってくる。


 そこで、今更ながらのジジツにきがついタ。


 この僕の部屋は、一番角にある。


 今向いているほうには、へヤなんてナかったハズだ。


 ナラ、今みているものはイったい……。


 ノゾキアナのすぐそばまでやってきたビジョが、邪悪な表情でにこりと笑った。


「二ガサナイワ」


 そのとたん、思考に靄がかかって、意識がぷつりと途切れた。


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